研究課題
若手研究(B)
本研究は,本州における縄文時代の人骨の安定同位体分析を行うことで,縄文時代人の食性について詳細に明らかにすることを目的とした。本州縄文人の地域的な食生態を明らかにするために,東海・近畿・山陽地域を中心として,収集した古人骨試料の炭素・窒素安定同位体比の解析を行った。これによって,遺跡ごとに特徴的な食生態を示すことが明らかとなった。また,骨資料から亜鉛やマグネシウムを抽出し,食性解析を行うための分析条件の最適化を行うことができた。
自然人類学
これまで古人骨の炭素・窒素同位体分析により,列島スケールで縄文人の食生態の多様性が調べられてきた。本研究では,より詳細に本州各地域における縄文人の食生態について検討した。地域内・集団内レベルにおける食性の変動がとても大きいことが明らかとなった。また亜鉛やマグネシウムなど新たな元素の同位体分析の手法を検討した。これらの研究を発展させることで,日本人の祖先である縄文人の食生態や環境適応とその要因についての理解が深まることが期待される。