研究課題/領域番号 |
17K12964
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研究機関 | 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所 |
研究代表者 |
金 旻貞 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所, 埋蔵文化財センター, 客員研究員 (60755784)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | テラヘルツ波分光イメージン / 0.2~1.5 THz周波数帯 / 彩色文化財の非破壊検査 |
研究実績の概要 |
2019年度では、1)可搬型テラヘルツ波イメージング装置を用いたケーススタディを継続することで、多様な彩色文化財の構造調査・研究に適切な調査条件を把握するとともに、2)昨年度に引き続き画像処理について新たな手法を併用することで3次元情報の関係をこれまで以上に容易に可視化することを試みた。すなわち、ケーススタディとして調査数を増やすのではなく、すでに測定が終わっている対象物の修理後に再測定を行い、得られたデータの検証を行った。 これまでの調査で表面では確認できない内部の構造、空気層が存在する劣化状態についてはテラヘルツ波イメージングが有効であることは把握できたが、テラヘルツ波信号強度と進行方向の軸は時間あるいは距離になった3次元データの扱いに困難があった。つまり、膨大な量のデータそのものは存在するがすべてのデータを平面上(2次元画像)に表示はできないため、これまでは観察者の任意的なデータの扱いによって断片的な情報を示してきた。 本研究ではテラヘルツ波イメージング画像処理についてイメージプロセシングソフトウェア(PicMan,WaferMasters,Ind.以下、イメージ分析)を用いてテラヘルツ波イメージング画像処理を併用しデータ処理を行うことで、大容量の生データの中から、容易に状態確認から更なる修理方針策定に至るまで目的に応じた実効性が高いデータを抽出できるようになった。これまでの結果を踏まえて、修理後の診断技術として有効性を確かめたのは大きな成果である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初計画の遅延が生じた理由とは、研究計画で予定したものとほぼ同様の研究成果が得られてきているが、最後に調査結果を総括し、成果を発信する学会の予定が2019-nCoVで中止となった。成果発信の遂行が不可能となり研究計画の見直しが必要となり、次年度まで補助事業期間を延長する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
2019-nCoVで調査及び成果発信の遂行が不可能となっていたが、これまでの研究において得られた成果を学術雑誌に投稿する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
学会発表等で旅費として計上した予算については2019-nCovで開催の中止によって見通がたたない。そこで、データの取りまとめにおいて、画像処理及び解析の見直しの必要性から、追加実験のための手板の作成に使用する予定である。
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