彩色文化財とは、軸装、幀装、帖装や板絵等の形態で描かれているものであり、その劣化メカニズムは同じ材料で同じ劣化因子でも、劣化因子の強弱や露出時間によって異なりを見せる。彩色文化財の内部構造調査を目的とした従来のX線透過法では、透過した情報しか得られず、また、赤外線と紫外線は、表層部分のみのデータしか得ることができない問題点があった。これまで彩色文化財に対して非破壊非接触での正確な診断調査が不足している技術的な問題があげられる。 本研究によって彩色文化財における劣化診断が可能となれば、保管環境中での保存状態が管理できるほか、修理を検討する上でも、極めて有効な知見をもたらすものと考えられる。
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