研究課題/領域番号 |
17K12968
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研究機関 | 横須賀市自然・人文博物館 |
研究代表者 |
柴田 健一郎 横須賀市自然・人文博物館, その他部局等, 学芸員 (20443327)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 足跡化石 / 博物館 / 展示 / フォトグラメトリー |
研究実績の概要 |
2019年度は足跡化石資料の収集と資料のデータベース化を継続し,展示物開発を進めた。 資料収集の内容は以下のとおりである。東京都日野市では新生代第四紀更新世の足跡化石産地を撮影した。慶應義塾幼稚舎と野尻湖ナウマンゾウ博物館では,肉食恐竜とナウマンゾウの足跡化石レプリカをそれぞれ1点作成した。神奈川県立生命の星・地球博物館ではナウマンゾウ足跡化石標本1点を撮影した。米国ユタ州のセントジョージ恐竜発見産地博物館では,座った肉食恐竜の足跡化石のレプリカ1点を作成し,2点の爬虫類足跡化石を収集した。米国ユタ州モアブ周辺で,中生代と白亜紀の足跡化石産地の撮影を行った。各足跡化石産地では,360度カメラでの撮影を重点的に行った。合計7点の足跡化石資料を横須賀市博物館古生物資料として登録した。 収集した足跡化石資料をデータベース化し,カタログを執筆した。2020年度発行の横須賀市博物館資料集44号に掲載予定である。足跡化石資料のデータベースを,横須賀市自然・人文博物館ウェブサイト「資料データベース」に掲載する準備を進めた。11点の足跡化石資料について,フォトグラメトリーによる三次元モデル,深度マップ,オルソフォトを作成した。 360度カメラで撮影した画像,ならびに三次元モデルを,タブレット端末を使用して展示する手法を検討した。足跡レプリカのジグソーパズル,足跡クイズ,足跡トレースの床面展示を試作し,神奈川県立横須賀高校1学年の生徒5人の探究活動をとおして来館者の反応を調査した。ジグソーパズルは児童とその保護者に大変好評で,学習の動機付けとして有効であると考えられた。2020年夏に開催の展示会について展示構成や展示内容を検討した。展示解説書の執筆を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
足跡資料90点の収集が完了した。目標とする100点には届かなかったが,展示物開発と展示会の開催に十分な資料が収集された。資料の撮影を完了し,データベース化とカタログ出版の準備が順調に進行中である。フォトグラメトリーを用いた足跡化石資料の記録,ならびに360度カメラを用いた足跡化石産地の撮影は2019年度で大きく進展した。三次元データと360度画像を用いた展示物も準備中である。2019年度にウェブサイトへのデータベース掲載開始を予定していたが,遂行できなかった。ユタ州モアブ近郊の足跡化石産地の共同研究を遂行中であり,原稿の執筆を進めている。この研究の成果は2020 GSA Rocky Mountain Section Meetingで発表予定である。
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今後の研究の推進方策 |
足跡化石データベースを横須賀市自然・人文博物館ウェブサイトで公開する。「横須賀市博物館資料集」に資料カタログを掲載する。横須賀市博で足跡化石をテーマにした特別展示「足跡から探る太古の世界―恐竜からナウマンゾウまで―」(2020年7月25日~11月8日)を開催する。来場者に対するアンケート調査,ならびに観覧行動調査を行い,児童生徒が探究的に学習できたかを評価する。閲覧行動調査は,アイトラッキング技術の活用を検討する。展示物の評価については,神奈川県立横須賀高等学校1学年の探究活動を通して実施する。開発した展示物とその評価,ならびに米国ユタ州の足跡化石産地の調査結果について,原稿を執筆する。 新型コロナウイルス感染拡大防止のため,展示会の延期や開催期間の縮小,触れる展示の取りやめなどの可能性が考えられる。来場者の安全を考慮した開催期間や展示内容を柔軟に設定する。今年度の展示会が開催できない場合は,補助事業期間延長承認申請を行い,2021年度に研究活動を継続することにより,計画どおり研究目的を達成する。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していたデータベースのウェブサイト公開のための更新委託が実施できなかったことにより,次年度使用額が生じた。更新委託は2020年度に実施する。2020年度の助成金は,展示物評価のための消耗品,ならびにアイトラッキング機器や解析ソフトウェアのレンタル等に使用する。
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