研究課題/領域番号 |
17K12980
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
福田 恵美子 東京工業大学, 工学院, 准教授 (50546059)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 待ち行列 / ゲーム理論 / シミュレーション / 実験室実験 |
研究実績の概要 |
令和2年度は、新型コロナウイルス感染症の影響により、研究計画を大幅に変更せざるを得なかった。 実験研究については、令和元年度に実施した実験室実験の追実験、およびさらなる知見を得るための比較実験を予定していたが、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、対面で実施する実験室実験はすべて断念せざるを得なかった。このため、令和2年度は、再び対面での実験が実施可能になるまで実験を延期する一方、新たな実験をオンラインにて実施する準備に費やした。具体的には、オンライン実験について勉強会を計4回開催し、オンライン実験実施の方法を習得し、令和元年度に実施した実験室実験をオンライン実験用のプログラムに書き換える作業を進めた。ただし、長時間におよぶ複雑な実験をオンラインにて実施することは困難なので、実験方式変更にともなう問題を解決する方法については模索中である。 また、実際の店舗等の混雑を観察して理論の検証をおこなうフィールド実験も最終年度に予定していたが、こちらも新型コロナウイルスの影響で、従来生じていた自然な混雑が観察されないため、計測を延期せざるを得なかった。こちらについては、社会状況に鑑みつつ令和3年度に開始予定である。 理論研究については、令和元年度に離散時点待ち行列ゲームが Otsubo & Rapoport (2008) のモデルの一般化になっていることが確認できたが、このモデルのさらなる一般化を試みている。令和3年度にはこの一般化モデルに対し、客の到着方式として新しい要素を加えたモデルの分析を進めていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症の影響により、以下の4つの問題を抱えた。 (1) 会合、出張の中止により、研究発表の機会を失った。 (2) 分析を進めるためには、追実験をするとともに条件を変えた実験を実施することが必要だが、対面での実験がいわゆる三密に相当するため、実験室実験の実施は困難である。(3) 実際の施設における混雑状況を調査し、理論結果等と比較することが非常に困難である。(4) 研究代表者、研究協力者を含め、コロナ禍により大学での授業運営等に多くの時間を要し、当初予定していた研究時間の確保が叶わなかった。 問題(2)については、代替手段となるオンライン実験の実施方法を習得し、実験環境を整えることができたが、全体としては、進捗状況はやや遅れていると言える。
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今後の研究の推進方策 |
令和2年度実施予定であった対面実験は実施できなかったため、新たに習得したオンライン実験の手法を用いて、追加実験等を行う予定である。フィールド実験については、実施可能な時期や場所を選定し、データ計測をおこなう。また、サービス提供者側の戦略として人数制限を導入したモデルを分析し、従来モデルとの比較をおこなう予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの影響で、対面実施できなかったため、主に謝金などの人件費を繰り越している。また、フィールド実験もできなかったため、このための予算も繰り越している。前者は、令和3年度以降に、オンライン実験を実施する際の実験参加者への謝金、および実験補助やデータ解析補助を担当する研究協力者への謝金に充当する予定である。 後者については、令和3年度中に、実施可能な時期や場所を選定し、データ計測をおこなう際に使用する。
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