研究課題/領域番号 |
17K12988
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研究機関 | 福井県立大学 |
研究代表者 |
藤野 秀則 福井県立大学, 経済学部, 准教授 (70754547)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | コミュニケーション / 情報共有 / ディスプレイ |
研究実績の概要 |
2018年度は,協力企業に対して試作したディスプレイシステムを導入し,その効果検証を行った. より具体的には,ある企業に協力いただき,その企業の休憩スペースにディスプレイシステムを設置し,そこでのディスプレイシステムの活用状況や,休憩スペースでの会話の様子について聞き取り調査を行った. 今回の試行では、協力企業の内部事情に応じて、ディスプレに提示させた情報は、世界の絶景スポットの情報、職場のある地域の飲食店に関する情報、健康管理に関する情報(職場の一斉メールで定期的に管理部門から周知されているものと同一)、職場のメンバが関わっている課外活動の情報の4つであった。すなわち、仕事に踏み込んだ情報としなかった。 メンバへのインタビューや画面へのタッチ回数のログなどから、結果としていかのことが分かった。(1)ディスプレイの中でもっとも多くタッチされたのはメンバの課外活動であり、それ以外の情報は設置後しばらくしてタッチされなくなっていった(2)課外活動の様子から会話が出てくることはたまにあった。ただしあくまで課外活動であり、仕事にかんする話ではなかった。(3)全般的にこうした取り組みは好印象のものと受け取られていた。特に、こうした休憩をターゲットとした取り組みを続けていること自体が、職場の経営層の意図を示すものとしてメンバが受け止めていることが分かった。 また、今後の課題として、仕事に関連した情報を取得することが案外容易ではないことが分かったので、今後、提示すべき情報をいかに収集・作成するかという点を検討していく必要があることが分かった。さらに、そうした仕事に関連する情報を提示した場合に、特に部署をまたいでコミュニケーションを引き出すための方法についても検討が必要であることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は、幸いなことに研究に協力してもらえる企業が見つかったため、実際に企業の休憩室に導入して実証実験を行うことができた。協力企業の内部事情から、期待していたことを完全に実施することはできていなかったが、実証実験を行ったことによって新たに気づいた点が多々ああり、研究として大いに進めることができたと判断している。 一方で、研究に割くことのできるリソースの面から、昨年度の結果として課題となっていた、実験室での基礎研究については、あまり進めることができなかった。この点については、次年度に持ち越しとなった。 以上の2点を考慮して、判断として(2)とした。
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今後の研究の推進方策 |
組織内での情報共有のためのコミュニケーション活性化の取り組みについて、引き続き、実際の現場で取られている方法に関する情報収集や聞き取り調査を進めていく。 それとともに、実験室での基礎実験については、研究方法はこれまでの検討や予備実験で固まっているので、今年度は早いうちに研究室での被験者実験を行い、システムの有効性を確認する。
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次年度使用額が生じた理由 |
差額が生じた理由として、まず第1に査読論文の掲載費として見込んでいた分について、採録決定が当初の見込みから遅れてしまったため、掲載料として見積もっていた分が次年度に持ち越したためである。これについては採録が決定しているため2019年度に支出予定である。この件以外の点に関して、学務との兼ね合いから参加を見送った学会があったことや、被験者実験の遅れ、物品購入の際の見込みと実経費の差額によって生じたものである。 今後の使用計画として、上記の論文掲載料のほか、国際会議への参加費、実験室実験の被験者謝金等として使用する予定である。
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