研究課題/領域番号 |
17K12989
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
宇津 圭祐 東海大学, 情報通信学部, 准教授 (80631796)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 位置情報 / 救助要請 / 安否確認 / ソーシャルメディア |
研究実績の概要 |
主に高齢者、子供、障がい者(被支援者)の緊急時・災害発災時の安否確認・安全確保を支援し、地域社会の安心・安全に寄与するソーシャルメディアと連携した位置情報記録・救助要請システムの実現について検討した。具体的には、被支援者の位置情報をリアルタイムに記録し、被支援者が救助を求めた場合/行動分析により異常が発生した可能性がある場合/災害が発生した場合において、ソーシャルメディアを通じて、その位置情報を支援者(被支援者の家族・親戚、民生委員等)に通知する。緊急時の救助要請が発せられた場合は、警察、消防、および自治体がこれを確認でき、救助活動に活用できることをめざす。また、研究代表者が所属するグループで開発を行っているソーシャルメディアと連携した災害時安否情報共有システムとの連携を実現する。 さらに近年、大規模な自然災害の発災時に、ソーシャルメディアにおいて救助要請及び被害報告に関する投稿が見られている。これらの投稿の有効性については議論されているが、投稿の分析を行うことにより、現状での実態について明らかにする必要がある。また、本課題における提案システムの改良のためにも必要である。そのため平成29年度~令和元年度の大規模自然災害発災時における救助要請に関する投稿について収集・分析を行った。 これまでの主な研究実績として、合わせて査読付き学術論文1件、査読付き国際会議発表10件、国内学会発表12件(うち招待講演1件)の発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1年目は、位置情報記録・救助要請システムの基盤となる、被支援者の位置情報をリアルタイムに記録し、有事にソーシャルメディアを通じて、支援者あるいは救助者に通知するシステムを開発する予定であった。実績としては、基本的な位置情報の発信と緊急時のアラート送信に関する機能の実装を完了した。また、研究室所属学生による動作テストについても実施し、正しく動作することを確認した。 2年目は、提案システムにおいて位置情報のトラッキング機能を実装を行った。また、行動分析による異常検出および通知について継続して検討した。さらに、平成29年、30年の大規模自然災害発災時(平成29年九州北部豪雨、平成30年7月豪雨)においてソーシャルメディアに投稿された救助要請に関する投稿について実態の分析を行った。 3年目は、2年目における取組みを継続して行った。また、令和元年台風第19号時に投稿された救助要請に関する投稿の分析を実施し、学会発表により公表した。 本課題は3年間で終了する予定であったが、補助事業期間延長により引き続き実施することとなった。4年目は、令和元年台風第19号時の投稿について引き続き分析を行い、有査読国際会議への投稿を行い採録となった。
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今後の研究の推進方策 |
自然災害に加え、新型コロナウイルス感染症の流行が大きな影響を及ぼしており、情報共有手段としてのソーシャルメディアの活用の議論がより活発化することが予想される。引き続きソーシャルメディアの情報分析及び活用に関する検討を継続する。一方、位置情報の活用については、新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から、位置情報の可視化や分析に応用できると考えられる。今後、他研究者と検討を実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度に参加予定だった学会について、新型コロナウイルス感染症の流行のため出張ができなかった。そのため次年度開催予定の学会の参加費として使用する。
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