研究課題/領域番号 |
17K12992
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研究機関 | 東海学院大学 |
研究代表者 |
安達 悠子 東海学院大学, 人間関係学部, 講師(移行) (40629945)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 不安全行動 / 医療 / 中断 |
研究実績の概要 |
本研究は,作業を再開する際に,ある作業をしたと思ったり,まだしていないと思ったりといった不安全行動がどのような環境で生起しやすいかを明らかにし,個々の医療機関で提案されている安全対策を整理することを目的にするものであった。 本年度は医療事故情報収集等事業として公開されている医療事故およびヒヤリ・ハット事例の事例データベースから,中断した作業を再開する時に生じる不安全行動がどのような環境で生起しやすいかを検討した。2014年1月から2017年12月までの3年間に生じた医療機器等,ドレーン・チューブ,療養上の世話,治療・処置,検査,その他の事例を対象に検討した。その結果,中断した作業を再開する時に不安全行動が生じた事例については(1)8-9時台,16-17時台,20-21時台の発生割合が高い,(2)患者が0歳代の発生割合が高い,(3)患者が男性で発生割合が高い,(4)当事者職種経験年数が0年で発生割合が高い,(4)血液浄化用機器や輸液・輸注ポンプといった医療機器等で発生割合が高いといった可能性が示唆された。また,発生要因については (1)当事者の行動に関わる要因として確認を怠ったの報告割合が高い,(2)ヒューマンファクターとして勤務状況が繁忙だったことや通常とは異なる心理的状況下にあったことの報告割合が高い,(3)発生要因として環境・設備機器やその他が報告される割合は低かったが,報告のなかでは医療機器や教育・訓練,ルールの不備が挙げられる割合が高いといった可能性が示唆された。改善策としてはいずれの医療機関も,指さし確認や声出し確認,作業の最初にさかのぼってやり直すこと,ダブルチェックを挙げていた。今後は環境・設備機器やその他の発生要因に対する改善策に焦点を当てて検討したい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
作業の中断,再開をしている事例の同定が困難であったことや着目すべき要因について試行錯誤があり,現在までの達成度はやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は医療機器等やドレーン・チューブといった事例の概要を検討することができた。次年度は薬剤にも事例を広げ,また環境・設備機器やその他の発生要因に対する改善策に焦点を当てて検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初に予定していた実験と事例分析の実施順を見直して事例分析を先に行った。事例分析は調査費用が安価と見込まれていたため全体の支出が抑えられた。
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