研究課題/領域番号 |
17K12992
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研究機関 | 愛知大学 |
研究代表者 |
安達 悠子 愛知大学, 文学部, 助教 (40629945)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 不安全行動 / 医療 / 中断 |
研究実績の概要 |
本研究は,作業を再開する際に,ある作業をしたと思ったり,まだしていないと思ったりという記憶錯誤から起こる不安全行動がどのような環境で生起しやすいかを明らかにすることが目的であった。 そのため,主課題の最中に種類の異なる挿入課題を入れることで中断を生起させ,挿入課題が主課題へ及ぼす影響を検討する実験室実験を予定していた。これまでの医療事故事例の分析を通して医療事故で作業中断が関わる事例が多かった区分の一つが薬剤関連であったという結果を踏まえて,主課題は薬剤の確認とした。挿入課題は認知的な処理を要する挿入課題(実験群)とあまり要しない挿入課題(統制群)を用意し,参加者の群分けを行うことにした。認知的な処理の多少を要因としたのは,再認刺激が認知的な処理を要する課題によって先行される時,その再認刺激を以前に見たと判断しやすいという現象が知られているためである(Landau,2001)。具体的には,実験群にはアナグラム(文字を組み替えて単語を作る)を課し,認知的な処理をあまり要しない課題はアナグラムと同程度に手指動作を行うが認知的な処理が少ないリーチング(手を伸ばして刺激に触れる)を課すことにした。 主課題および認知的な処理を要する挿入課題で用いる薬剤は,単語頻度(普段から当該単語に接する頻度)や文字数を統制して選定する必要がある。また,参加者は病院実習を終えた看護学生を予定していたことから,当該学生達を指導する立場にある複数の看護系教員の協力を得て,単語頻度や文字数が概ね整うように単語の選定を行うことができた。コロナ禍という社会状況下のため,対面で行う本実験を今年度には実施できなかったが,看護系の大学生に実験参加の募集を呼びかけられるように手配を依頼できており,次年度には社会情勢を鑑みた上で,十分な感染症対策をしながら実験の実施を予定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍において対面での実験の実施が難しく,現在までの達成度はやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
実験条件や実験課題,実験刺激として用いる用語の選定などが終了している。対面による実験ではあるが,社会情勢を鑑みた上で,十分な感染症対策をしながら実験の実施を今後は予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験の実施が延期され,実施にかかる費用が持ち越されたため支出が抑えられた。当該費用は,主に実験の実施および研究成果の発表の費用として次年度に使用を計画している。
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