研究実績の概要 |
本研究では地震被害推定に必要な基盤データを整備し,既存の被害推定手法を適用することで地域ごとの被害分布を時系列で明らかにし,その結果を分析することで,スパースモデリングが重要な被害シナリオの抽出に有効であることを確認する. そのために平成29年度は,被害推定の基盤となる都市データ整備の手法の確立と自動化による全国データ整備を進めた.データ整備内容は, 次に2つである. I)建物構造, 耐火性能, 築年代を建物単位で推定する手法を開発した. 具体的には,住宅地図,不動産データ,国勢調査・住宅土地統計調査をを利用することで住宅地図に築年代,建物構造,耐火性能の属性割り当てを行い精緻な人・都市データを整備し評価精度の向上に取り組んだ.具体的には全国6000万棟の建物構造・築年数・耐火性能を住宅地図を基に統計データと不動産データを教師データにすることで機械学習(Random ForestやDeep Learning)により推定した.不動産データと突き合わせることで推定モデルの精度を検証した. II)大規模携帯電話GPSデータを用いて, 時空間内挿し, 拡大係数を推定することで被害想定に適用可能な時間別(365日15分間隔) の人流データを開発した. 実際の人口に合わせる拡大係数(人/ポイント)については, 国勢調査から得られる夜間人口と経済センサスから得られる従業員数と突き合わせることで信頼性を検証した. また, 一部地域での倒壊・火災・津波による被害シミュレーションを行うことが出来た。
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