研究課題/領域番号 |
17K13001
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研究機関 | 気象庁気象研究所 |
研究代表者 |
小寺 祐貴 気象庁気象研究所, 地震津波研究部, 研究官 (80780741)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 地震防災 / 地震動即時予測 / 緊急地震速報 / 機械学習 / 自動処理 |
研究実績の概要 |
地震動即時予測の迅速性・信頼性を向上させるためには,ノイズが混入する恐れのある地震計などのデータも積極的に取り入れることで,活用可能な観測点数を増やしていくことが重要である.そのためには,そのような地震計の観測データから,地震波の情報を効果的かつ自動的に抽出する手法の開発が必要である. 上記手法の開発を目的として,本年度は,気象庁,防災科学技術研究所,東京大学地震研究所が有する地震波形の観測記録(気象庁震度観測点,KiK-net,MeSO-netの観測データ)を用いて,地震波(P波・S波)やノイズの特徴量の調査を行った. リアルタイム震度が,STA/LTA(短時間/長時間平均の比)といった従来よく用いられる特徴量に比べ,比較的大きな地震の検出に有効な特徴量であることや,周辺環境に由来したノイズによる誤検出の可能性が小さい特徴量であることを示した.また,粒子軌跡の極性を連続的にモニタリングすることで,地震波の冒頭に現れるP波の識別が可能であることのみならず,巨大地震時において,強震動生成域から放出されたP波(やや遅れて現れる,初期破壊のS波等と重なり合ったP波)の識別も可能であることを示した. 一方で,機器障害に起因するノイズが混入する観測点においては,地震が発生していない状況であっても,大きなリアルタイム震度が観測されるケースがあることも分かった. 次年度以降は,これらの知見を踏まえ,地震波とノイズを識別するためのモデルの構築を行う.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画通り,様々な地震観測網のデータを用いた地震波の特徴量の調査に着手することができ,いくつかの有用な知見が得られた.
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今後の研究の推進方策 |
次年度も引き続き,地震波やノイズの特徴量の調査を行う.また,得られた特徴量の知見を踏まえ,地震波とノイズを識別するためのモデルの構築を試みる.
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度以降における学会や論文での研究成果発表の費用に充てることとしたため.
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