研究課題
2011年東北地方太平洋沖地震津波では、数多くの津波に起因する火災(以下、津波火災と記す)が発生した。岩手県山田町等で発生した津波火災は、高密度に集積したがれきが延焼拡大の要因となったと考えられている。今後発生が懸念されている巨大津波でも津波火災が発生する可能性はあり、そのリスクを評価するためにがれきの発生・漂流・漂着の推定精度を向上させる必要がある。本研究を進めていく中で、市街地で延焼する火災を予測するためには、津波によって破壊された建物から生じたがれきの挙動を適切に予測するモデルが必要であることが分かってきた.平成29年度には津波流動・がれき挙動を双方向で連成した数値モデルの開発を行った.また、平成30年度には2011年東北津波時の岩手県山田町を対象に、二種類の仮定(1.建物が形状を保持したまま漂流する場合、2.移動開始と同時に建物が断片化して漂流する場合)のもと漂流物計算を行った。それらの結果から漂流・漂着特性を明らかにし、航空写真から推定したがれきの平面分布や海上流出率を計算結果と比較することで、漂流物の計算条件や計算結果の妥当性を検証した。これにより、建物がれきを対象とした漂流物の漂着位置分布を推定するためには、がれきの断片化を適切に考慮することが重要であることが分かった。これを受け平成31年度には、平成29年度に開発した津波流動・がれき挙動双方向結合モデルを用いて、岩手県山田町を対象に現地適用計算を実施し、双方向結合モデルの効果を評価した。
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Journal of Japan Society of Civil Engineers, Ser. B2 (Coastal Engineering)
巻: 75 ページ: I_445~I_450
https://doi.org/10.2208/kaigan.75.I_445