研究課題
自然災害の経済被害の波及を捉えるため地域間のつながりについて研究した.特に2019年度は地域間の経済のつながりを支える交通について明示的にモデルに組み込む研究や従来の方法の批判的検討を行った.自然災害の経済被害額を推計するモデルを応用一般均衡モデルをベースに開発した.特に都道府県を地域単位とする多地域応用一般均衡モデルと高速道路等の高規格道路を対象とした利用者均衡配分モデルを統合し,経済活動水準と整合的な交通量のシミュレーションを可能とする統合モデルを開発した.今後,同モデルにより,特定の道路が被災した際の交通網全体に与える影響および各地域の経済活動に与える影響を定量的に把握する事ができる.また災害からの経済活動の復旧にあたり,どの道路の復旧が経済活動の復旧に重要であるか分析することができ,災害時の道路の復旧計画に経済活動の面から材料を提供する事ができる.また,これまでの多地域多部門応用一般均衡モデルで採用されていたIceberg型輸送モデルを批判的に検討した.Iceberg型輸送費用モデルを採用した場合,輸送費用の低下は発地の生産量を必ずしも適切に反映しない.なぜならばIceberg型輸送費用モデルでは生産量の一部が輸送に利用されていると仮定するため,輸送費用の低下は生産量の減少につながるためである.すなわち輸送費用の低下に伴う発地での生産量増加はモデル上では過小評価されている.輸送費用の増加の場合についても生産量の減少幅が過小評価されている.上記について理論的および定量的に示し,この研究結果は査読論文に掲載された.
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)
Journal of Japan Society of Civil Engineers, Ser. D3 (Infrastructure Planning and Management)
巻: 76 ページ: 91~99
https://doi.org/10.2208/jscejipm.76.2_91