東シナ海への長江からの淡水流入をテーマにした既往研究は、ほとんどが塩分、海色・濁度、生態系への影響を議論しており、Kako et al. (2016)で示されたような長江希釈水に起因した水温分布の形成・変動過程が、その直上の大気に与える影響や、集中豪雨などの激甚災害に与えるインパクトへの言及は皆無であった。本研究は数値実験を通して、長江希釈水が夏季東シナ海陸棚域の海面水温を低下させ、その水温低下によって励起される東シナ海上の大気応答が、集中豪雨の発生・発達に対し、統計的な有意性が見出される程度に寄与することを初めて示した。これらの成果は、国内外の主要な学会で発表した。
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