研究課題/領域番号 |
17K13019
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研究機関 | 広島市立大学 |
研究代表者 |
常盤 達司 広島市立大学, 情報科学研究科, 講師 (00636219)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 凍結プローブ / 熱電対 / 凍結治療 / 低侵襲治療 / 高精度測温 |
研究実績の概要 |
本研究は,脳神経外科治療への応用を目指した高精度測温機能を有する熱電対内蔵凍結プローブを開発し,その有効性を立証することである. 本研究初年度の計画は,主に以下の3つであった.1)凍結プローブに内蔵する熱電対の2種金属を選定し,提案機構の設計製作を行うこと,2)内蔵型熱電対の校正直線を取得すること,3)凍結プローブの凍結性能試験を行い,従来測温手法と本提案手法による測温性能を評価すること. 1)2種金属は,切削の容易さ,熱伝導率などを勘案し,アルミ(SUS304)とコバール(Kovar)に決定した.両金属を用いて,凍結プローブの外管と内管をそれぞれ設計し,それらの金属を先端のみで溶接することで,構造的に熱電対を設計した.試作した凍結プローブは約440 gで手のひらサイズであることから,外科手術に容易に利用可能であると考えられる.さらに,2)内蔵型熱電対の動作検証を行うために,校正直線を取得した.小型恒温槽に提案プローブを入れ,脳深部の温度(約40度)から凍結温度(-50度)までの範囲で恒温槽温度を変化させた場合の熱起電力を計測した.実験結果から,内蔵型熱電対は,十分な性能を有することが確認された.さらに,試作プローブの測温性能を評価するために,3)38度程度一定に保った寒天内に,冷媒(R-410a,沸点約-40度)を入れた提案凍結プローブの先端を刺入し,凍結を行った場合の温度変化を計測した.結果より,提案凍結プローブは従来凍結プローブよりも高精度な測温機能を有することが確認された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画は,主に以下に示す3つであった.
1)熱電対機能内蔵型凍結プローブの試作,2)内蔵型熱電対の校正直線の取得,3)試作プローブの凍結性能試験(従来手法との測温性能の比較)
現在,いずれの計画も遂行されていることから,本研究は,おおむね順調に進展していると考えられる.
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今後の研究の推進方策 |
初年度に提案した熱電対内蔵凍結プローブの更なる性能向上を目指し改良を加える.さらに,本提案プローブの臨床応用を見据え,ラットを用いた動物実験を立案し,研究協力者の研究機関にて検証実験を実施する.
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由は,提案プローブの設計に計画以上に時間を要し,当初購入予定であった物品の購入が遅れたためである.次年度は,当初計画していた物品の仕様等を再検討した後,本研究に最適な物品を購入する予定である.
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