本研究では、転倒や転落などの医療事故において、事故の要因として最も多い医療従事者のヒューマンエラーに焦点をあて、そのエラーの中で危険予知について得点化できる評価法Time Pressure-Kiken Yochi Training効果測定システム(以下、TP-KYT)を作成することを目的とした。日本の病院や施設では危険予知に対するリスク教育としてKiken Yochi Trainingが使用されることが多いが、その効果を測定する手段がないのが現状であり、本研究を実施することでリスク教育の質をさらに高めることができる。 本研究期間全体を通して、次のように研究計画を実施した。まずは研究初年度において、医療事故の要因を明らかにするために、医療事故の場面をイラスト化しExpertがリスクを判断する際に何をリスクとして捉えているかを探索した。研究の2年目において、Expertのリスク判断を基に5つのリスク場面からなる評価法を作成し、他の経験群との得点を比較し得点の識別性の検証から評価法としての妥当性を確認した。研究最終年において、経験による危険予知の方略の違いを量的に検証するために、アイトラッカーを用いてリスク発見時の視線移動について比較検討を行った。さらに、TP-KYTの評価法の特徴である時間制約について、時間制約が評価法へ及ぼす影響を確認すべく認知的負荷を測定するNASA-Task Load Index(NASA-TLX)との相関を検証した。また、新たに評価法の信頼性の検証を進め、検者間信頼性および検者内信頼性の検証を行った。 今までの研究実施期間を通して、TP-KYTの評価を完成させることができ、海外誌Quality Management in Health Careへの公表を行うに至った。
|