研究課題/領域番号 |
17K13045
|
研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
徳嶺 朝子 近畿大学, 生物理工学部, 講師 (90435058)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | 心肺バイパス / 体外循環 / 人工心肺システム |
研究実績の概要 |
本研究課題では、体外循環「システム」を見直し開発を行い、心臓手術の安全施行を実現するべく研究開発を行うことを考えた。体外循環中の患者血液量は貯血槽内の血液量で調節される。「流入量」「流出量」を制御することができれば、人工心肺システムの制御は可能であると考えた。 初年度は、準自動循環制御を行うためのシステム開発の第一段階として、流入出量の安定化システムを構築することを目標とした。予備実験により、流入量と流出量の安定化については作成済であったため、脱血圧を模擬した静脈圧発生のタンクを設け、タンク内液位を指定圧で維持するための機構を新たに追加するだけで済む。早い時期に大型の水槽を設け人工心肺システムから送り出された液体をシミュレータ本体へ戻さずに、生体内を模擬した実験用模擬回路を作成した。これにより、体外循環中の体内灌流状況を自由に作成でき、静脈灌流の減少を模擬することが可能になったことから、脱血状態を定量的に再現することができた。 しかし、当初予定していた制御条件では、制御項目を増加させたことが要因となり、研究開始より適用したシステムでは対応できないことが判明した。準自動循環制御システムの構築には、制御項目は複数項必要である。これに対応するために、別システムの構築に初年度の後半、時間を費やした。ローラーポンプの電流制御により回転数を調整できる目処が立ったため、最終年度にはローラーポンプを送脱血回路に各1機および生体内を模擬するために1機の計3機のローラーポンプを制御項目の変化に連動して動作するための検証実験を行う予定である。システム構築の変更のため、同時にソフトウェアの見直しを実施することができた。準自動のための主要アルゴリズムは作成済である。安全性検証実験と併せて、操作性の検証実験を予定通り実施する。体外循環操作はシステム化できることを示す。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の実施計画のうち、実験用模擬回路の作成および操作のための制御条件の確定については完了している。途中、制御条件の項目を複数としたことで、現システムでは対応ができなくなり、別プログラムの作成によりシステム変更を当該年度の後半に実施した。このため、同実験の再現検証実験が遅れている。
|
今後の研究の推進方策 |
準自動循環制御システムの構築には、制御項目は複数項必要である。使用するポンプを遠心ポンプからローラポンプへ変更したが、ローラポンプの電流制御により回転数を調整できる目処が立ったため、最終年度にはローラーポンプを送脱血回路に各1機および生体内を模擬するために1機の計3機のローラーポンプを制御項目の変化に連動して動作するための検証実験を行う予定である。 システム構築の変更のため、同時にソフトウェアの見直しを実施することができた。準自動のための主要アルゴリズムは作成済である。安全性検証実験と併せて、操作性の検証実験を予定通り実施する。体外循環操作はシステム化できることを示す。シミュレータ等から模擬患者情報として動脈血圧と中心静脈圧の信号をシステムに入力させる。各血圧を指定した圧にするための操作条件をシステムに組込み、循環状態だけでなく生体情報も考慮したシステムへ改良する。次年度には、シミュレータを使用して様々な環境(トラブル含む)を再現し、トレンドを記録する。自動循環操作中に人工心肺に関する重大な事故である「空気誤送」を起こすことのないシステムを目指す。
|
次年度使用額が生じた理由 |
制御条件の項目を複数としたことで、現システムでは対応ができなくなり、別プログラムの作成によりシステム変更したことで、当初必要とした材料の変更を実施した。また、使用するポンプの変更により、次年度は計画時の同等のローラーポンプを3機購入する予定である。モーター駆動のためのシステム設計が今年度末に完成できたため、3機駆動のための電子部品購入費用を計上する。体外循環を模擬するための各種チューブや構成要素(貯血槽(水実験のため未滅菌で可能)等)の購入が必要である。 また、研究成果発表としては国内の関連学会で数件発表を行う予定である。より多くの研究者に知見を報告するためには国際誌への投稿は最も影響が高いため数本のエントリーを検討している。実験の遅れにより初年度英文校閲を見送る必要があった。次年度に変更し、本研究に関連する国際誌に複数の投稿を目指す。英文校閲等費は次年度に変更する。
|