研究課題/領域番号 |
17K13048
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
石川 博明 東北大学, 大学病院, 理学療法士 (30597828)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 腱板断裂 / 腱板修復術後 / 超音波エラストグラフィ / 張力 / 外転装具 / ADL / 運動療法 |
研究実績の概要 |
腱板断裂に対する外科的治療として腱板修復術が行われる。しかし、術後患者の約30%が再断裂を引き起こすことが報告されており、肩関節痛や筋力低下が残存するだけでなく、再手術によって医療コストの増加に繋がる。したがって、術後リハビリテーションにおいては、修復腱を保護し、再断裂を防ぐことが重要となる。この再断裂を引き起こす力学的要因として修復腱に加わる張力が挙げられる。特に、上肢固定期間中において、装具の装着位置は修復腱への張力に影響を及ぼすと考えられるが、適切な装具の装着位置に関しては未だ不明な点が多い。また、運動が許可された時期において、日常生活動作や運動療法でどの程度の張力が加わるのかが定量的に明らかにされていないため、患者への生活指導は医療者の主観的な判断でなされているのが現状である。そこで、本研究では超音波エラストグラフィを用いて修復腱の硬さを測定することで張力を推定し、どのような装具の装着位置や日常生活動作、運動療法で張力が増加するのかを明らかにすることを目的とした。 平成29年度は、研究プロトコルを作成し、当院倫理委員会の承認を得た。この研究プロトコルをもとに健常者3名を対象とした予備実験を行い、測定方法を確認した。次に、腱板修復術後患者を対象とした本実験を行い、現在までに9名の測定が終了した。装具の装着位置に関しては、水平面上において肩甲骨面より後方に装着した位置で修復腱の硬さが増加、つまり張力が増加する傾向を認めた。日常生活動作に関しては、安静肢位と比べて、飲水や歯磨き動作で修復腱の硬さが増加する傾向を認めた。運動療法に関しては、自動介助運動、自動運動、抵抗運動の順に修復腱の硬さが増加し、内外旋運動と比べて挙上運動で修復腱の硬さが増加する傾向を認めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成29年度は、倫理委員会の申請や必要物品の購入を行い、研究環境を整えることができた。また、当初は腱板修復術後患者10名の測定を目標としていたが、概ね達成することができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後はPower Analysisを行い、必要があれば目標被検者数を調整して測定を継続する予定である。被検者の数が目標に達した時点で被検者の抽出は終了し、統計学的解析を行った後に学会発表および論文投稿にて研究成果を発信する。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度の研究使用額は、超音波エラストグラフィの測定に関わる消耗品の購入が一部不要となったこと、当初の予定より被検者数が少なかったことにより発生した。次年度は、平成30年度請求額とあわせ、被検者への謝金、研究遂行に必要な物品の購入、学会発表、論文作成のために使用する予定である。
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