研究課題/領域番号 |
17K13049
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
稲垣 武 千葉大学, 医学部附属病院, 理学療法士 (00770695)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 肺高血圧症 / 呼吸リハビリテーション / 安全性 / 運動耐容能改善 / 健康関連QOL改善 |
研究実績の概要 |
本研究は、肺高血圧症(PH)患者に対する呼吸リハビリテーション(呼吸リハ)の効果、安全性、改善の機序の解明、疾患特異的アプローチの構築を目的とした 前向き研究である。令和2年度の1年間で、呼吸リハを実施したPH症例を数例蓄積した。各患者において、呼吸リハの前後で運動耐容能(6分間歩行距離:394.8 ± 85.1 m→428.5 ± 94.9 m)、健康関連QOL(SGRQ :37.9 ± 10.5→31.4 ± 13.2 )、身体活動量(step/day: 2377.5 ± 1063.2歩 →3052.8 ± 1789.3 歩) の改善を認めた。また、呼吸リハ前後および呼吸リハ終了1年後で、心エコーの三尖弁圧較差(TRPG:開始時45.1 ± 11.9mmHg → 3ヶ月 44.0 ± 15.7 mmHg → 1年後 44.0 ± 15.7mmHg)に増悪がなく、安全性が示唆された。上記の内容は、ERS INTERNAL CONGRESS2020(Safety and efficacy of home-based pulmonary rehabilitation in patients with pulmonary hypertension: Feasibility study of 12 cases)で発表した。また、現行のPH患者に対する呼吸リハの効果と安全性、運動処方について、2020年7月開催の第26回日本心臓リハビリテーション学会学術集会(肺高血圧症に対する適切な運動療法)のシンポジウムで公表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染拡大に伴って、途中で外来リハビリテーションが停止した。
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今後の研究の推進方策 |
今後もPH患者に対する呼吸リハの症例数を蓄積し、改善効果・安全性の確認を行う。特に、身体機能の改善と肺血行動態の関係性を検討することで、呼吸リハに よる改善の機序の明確化、安全管理方法の確立、疾患特異的アプローチの構築が望まれる。 当院呼吸器内科はカテーテル検査台で使用できる自転車エル ゴメーターと呼気ガス分析装置を購入した。それにより、右心カテーテル検査中に心肺運動負荷試験を実施できるようになった。新型コロナウイルスの感染が終息したら、この検査方法を用いて呼吸リハの効果・安全性に関する検討を更に重ねていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
国際学会がオンライン開催になったため、海外の移動費・滞在費・ポスター印刷費がかからなかった。その代わり、ノートパソコンが古くなってアップデートできなくなり購入したため、次年度使用額はほぼ発生しない状態になった。
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