研究課題/領域番号 |
17K13050
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
廣幡 健二 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 理学療法士 (90747700)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 膝前十字靱帯 / 片脚ホッピング / 伸張-短縮サイクル運動能力 / 敏捷性評価 |
研究実績の概要 |
膝前十字靱帯(ACL)再建術後選手の復帰は,フィールドテストによる敏捷性評価を含めた基準を用いて判断する.しかし,フィールドテストは切り返し能力などの運動的要素と,視覚認知力などの認知的要素を含む包括的な評価であり,その評価結果のみで,詳細な問題点を把握することは難しい.敏捷性の運動的要素には,伸張-短縮サイクル運動遂行能力が含まれる.そこで本研究は,省スペースで実施可能な片脚垂直連続ホッピングを運動課題として,その接地時間と滞空時間から算出可能な反応筋力指数(Reactive strength index; RSI)を指標に,ACL再建術後選手の伸張-短縮サイクル運動遂行能力を健常選手と比較する事を目的としている. 平成29年度は,計測機器の調整と計測データの再現性について検討を行った後に,被験者リクルートとデータ収集を開始した.申請段階では,1軸のストレインプレートを購入予定であったが,可搬性と計測時の安全性の面から光学センサー式ランニングジャンプデータ収集システムに変更した.また,前方跳躍動作のタイム計測のため光電管センターシステムを購入した.計測項目は,片脚垂直連続ホッピング時RSIの他に,片脚前方跳躍能力を計測する既存の4種類のテスト(6m timed hop test, Single hop test, Triple hop test, Crossover hop test)としている.現時点では,ACL再建術後選手7名と健常選手6名の計測を終了した.各測定項目の術側/非術側比について分析を行った.ACL再建術後選手は,健常選手に比べて,Crossover hopの術側/非術側比と片脚垂直連続ホッピング時RSI術側/非術側比の有意な減少を認めた.本研究の情報は,ACL再建術後選手の競技力向上のための術後リハビリテーションプログラムの構築に役立つと考えている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初,申請段階で予定していたものとは異なる機器を新規購入したため,計測環境調整に時間を要した.また,機器の計測再現性を確認するため,申請内容に追加して健常者10名を対象とした予備研究を実施した.また,あらかじめ予測していたことであるが,計測環境が限られることから,研究協力者リクルート時のスケジュール調整に時間を要している.
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今後の研究の推進方策 |
引き続き,膝前十字靱帯再建術後選手と健常選手の計測を実施する.被験者のリクルートについて,特に健常選手の募集についてはサンプル数確保のために,ホームページやポスター掲示などの広報手段に加えて,関東近郊の大学や実業団の健常選手に対し,共同研究者のネットワークを利用して研究協力を募る.これと並行して,計測済みデータの抽出と分析を進めていく.分析結果は,学会発表と関連雑誌への投稿という形で公表する.
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次年度使用額が生じた理由 |
前述の通り,主に使用する機器を申請段階とは異なる物に変更したことと,研究協力者のリクルートが遅れたことにより,次年度使用額が生じた.今後,学外研究協力者への謝礼金,成果公表のための国際学会参加費および旅費,そして,国際雑誌へ投稿するための英文校正料および投稿料として使用する.
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