本年度は、非荷重環境がラット膝関節軟骨に与える組織学的影響をコンパートメントごとに調査するとともに、非荷重環境が膝関節の滑膜および膝蓋下脂肪体に与える組織学的影響を調査した。 対象として9週齢のWistar系雄性ラット25匹を使用した。5匹をベースライン群に供し、20匹を通常飼育群と後肢免荷群の2群に分けた。実験期間は2および4週と設定し、各群5匹とした。後肢懸垂方法としてキルシュナー鋼線を用いた尾部懸垂を採用した。飼育期間後、組織標本を作成し、薄切後、ヘマトキシリン・エオジン染色およびトルイジンブルー染色を実施した。その後、光学顕微鏡を用いてコンパートメントごとの膝関節軟骨および滑膜、膝蓋下脂肪体に対して組織学的および組織形態学的評価を行い、統計学的に解析した。 その結果、非荷重環境によって関節軟骨の菲薄化、基質染色性の低下、組織学的スコアの有意な増加を認めたが、軟骨細胞の密度に変化は認めなかった。また、コンパートメントごとに明らかな差は認めず、すべてのコンパートメントは同様の傾向を示した。滑膜および膝蓋下脂肪体においては非荷重環境によって明らかな組織学的変化は認めなかった。 以上より、非荷重状態は関節軟骨に対して廃用性の変化を引き起こすが、滑膜および膝蓋下脂肪体においては有意ね変化は生じず、関節構成体全体としては軽微な変化にとどまった。
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