研究課題/領域番号 |
17K13058
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
柴田 恵理子 札幌医科大学, 保健医療学部, 研究員 (80516568)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 運動感覚 / 頭皮上脳波 / 事象関連脱同期 |
研究実績の概要 |
近年,運動感覚の知覚を治療アプローチとして応用し,ギプス固定による運動機能の低下予防や疼痛抑制に効果があることを示した報告が散見される。これらの運動感覚の知覚に関する研究では,運動を知覚しないような感覚入力をコントロールとして用い,感覚入力自体ではなく,感覚入力によって運動を知覚させることの必要性が論じられている。運動感覚の知覚という心理状況は,被験者の主観を基に評価されることが多く,知覚の誘導を客観的かつ簡便に判断する指標はない。この点において当該研究は,臨床応用を見据え,運動感覚の知覚を簡便に評価するための生理学的指標を確立するというところに意義があった。 平成30年度は,昨年度に作成した運動知覚中のAntagonist vibratory responseをオンラインで解析するプログラムを改良し,頭皮上脳波をオンラインで解析するプログラムを試作した。運動感覚の知覚を誘導する感覚入力には視覚入力を用いた。オフライン解析では,運動感覚を知覚している最中には感覚運動皮質より後方から記録したα周波数帯域の脳波に事象関連脱同期が生じることが明らかとなっている(柴田ら,バイオメカニズム,2018)。当該年度は,α周波数帯域の他にβ周波数帯域を解析対象に追加し,運動感覚の知覚が誘導されているかを示すバイオマーカーを検証した。その結果,運動前野と頭頂葉のα周波数帯域における事象関連脱同期を組み合わせることで,運動感覚の知覚が誘導されていることを判別できる可能性が示唆された(投稿中)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
平成30年度は,運動知覚が誘起する際に生じるAntagonist vibratory responseをオンラインにて解析するプログラムを改良し,頭皮上脳波を解析するプログラムを試作した。このプログラムを用い,運動知覚を誘導する感覚入力を視覚入力に変更した検証を追加しており,当初予定していた経頭蓋磁気刺激を用いた検証が実施できていないため,区分(4)とした。
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今後の研究の推進方策 |
平成31年度は,平成30年度迄に実施予定であった経頭蓋磁気刺激を用いたAntagonist vibratory response中の一次運動野興奮性の検証および脳磁図の測定を行う。実験デザインに変更はなく,プログラムも作成済みであるため,技術的には問題ないものと考える。
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次年度使用額が生じた理由 |
検証項目の追加に伴い,平成30年度に購入を繰り越していた振動刺激装置を用いた実験を一時中断した。そのため,振動刺激およびAD変換ボード購入予定分が未使用となっている。どちらの機器も平成31年度に購入予定である。
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