研究課題/領域番号 |
17K13060
|
研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
中島 和希 横浜市立大学, 医学研究科, 特任助教 (10737323)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | AMPA受容体 / 損傷前 / 機能回復 |
研究実績の概要 |
脳血管障害により生じた麻痺は元の水準までの機能回復は困難である。機能回復を促進するアプローチが近年開発されているが、十分な改善には至っていない。それは、リハビリテーションにより機能回復が促進されるメカニズムが明らかにされていないことに起因すると考えられる。そこで、本研究では、脳損傷前AMPA 受容体のシナプス移行能に着目し、リハビリテーションにより可塑性が誘導され、機能回復が促進するメカニズムを明らかにすることを目的としている。 本研究では、損傷前のAMPA 受容体シナプス移行を促進する方法として、豊かな環境下での飼育を行った。豊かな環境下で飼育すると、海馬CA1 領域の錐体細胞における長期増強が促進し、AMPA受容体の発現量も増大することが既に明らかになっている(Foster ら Brain research 1996)。今年度の研究実績として、まず、豊かな環境設備(巨大なケージ、回し車、遊具)を適切に行うことができた。豊かな環境下で飼育したマウスは、前肢を使用して餌を把握する運動課題(リーチングタスク)の運動学習効率が良くなることが明らかになった。 大脳皮質(運動野)凍結損傷モデルを構築することができた。大脳皮質凍結損傷を作成する損傷強度の設定を適切に行うことができた。機能回復能を評価する行動タスクを複数検討し、リーチングタスクにおいて、豊かな環境飼育マウスでは機能回復を促進する傾向が認められた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
豊かな環境設備の設定や大脳皮質凍結損傷モデルを構築することができたため。
|
今後の研究の推進方策 |
1.マウスを豊かな環境下で飼育した後に、損傷前のAMPA受容体のシナプス移行能を検証する。AMPA受容体のシナプス移行は、ホールセルパッチクランプ法を用いて、検討する。また、大脳皮質のマッピングの変化を調べるために、皮質内微小刺激法を用いて検討する。 2.損傷後の機能回復能及びメカニズムを解明する。現在、豊かな環境下で飼育したマウスは機能回復を促進する傾向が見られているため、個体数を追加した実験を行う。さらに、機能回復を仲介するメカニズムとして、AMPA受容体の量的・機能的変化を電気生理学的実験や生化学的実験から明らかにする予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
現在得られている結果より、有意差を検出するために、次年度に動物個体を増加させ、検討していくために、今年度から繰越額が生じた。
|