研究実績の概要 |
運動器の障害により要介護になるリスクの高いロコモ症候群が注目されている. 高齢者の易転倒性は,1)視空間認知機能の低下,2)身体・物体中心座標系の機能低下,3)自己移動感覚認知の低下による可能性がある.しかし,これらがどういう影響を及ぼすのか,また, その相互作用の詳細は不明である.そこで,健常若年者と健常高齢者を対象に,自己運動知覚(optic flow)刺激による, 行動指標,視覚誘発電位,重心動揺検査を行い,姿勢制御に関わる神経基盤の解明と加齢の影響を検討する.本研究により身体機能が正常であっても,視覚認知機能低下による転倒リスクが高い高齢者の予測が可能となり,新たな治療介入手段の導入に貢献できる. 現在までに,健常若年者のVEPと重心動揺計にて測定したCOP前後動揺パワースペクトル(0.2~2.0Hz)とに相関が示唆された.また,高齢者のVEP振幅・潜時と神経心理学検査(リバーミード行動記憶検査,MoCA-J)との相関,6分間歩行における歩行数とVEP振幅に相関があることを見出している.さらに,高齢者の日常的な活動量による身体機能の調査を行い,易転倒性と身体機能,視空間認知機能の関連性を解明する.
|