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2022 年度 実績報告書

視空間認知機能に着目した高齢者の易転倒性予測:多次元的評価と脳内基盤の解明

研究課題

研究課題/領域番号 17K13063
研究機関広島大学

研究代表者

高宮 尚美  広島大学, 脳・こころ・感性科学研究センター, 研究員 (70723469)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2023-03-31
キーワード視覚誘発電位 / 身体機能 / 有酸素運動
研究実績の概要

視覚情報は腹側路と背側路により並列処理される.下側頭葉に投射する腹側路は主に色覚と形態視に, 下頭頂小葉(IPL)に投射する背側路は運動視や奥行き知覚などに関与する. IPLは,視覚や体性感覚などいくつかのモダリティの統合に重要な領域と考えられ,その障害は半側空間無視,失行,発達障害,認知症などの病態を引き起こす.我々は最近,IPLを発生源とする視覚誘発電位(VEP)を用いて,軽度認知障害(MCI)やアルツハイマー病(AD)の患者において,背側路における高次処理が障害されていることを発見した.つまり,AD発症前のMCI患者においてもIPL障害を高感度に定量評価することを可能とした.また,MCI発症後であっても適切な身体活動や運動プログラムには,認知症の進行を遅らせる効果がある.そこで,身体活動がIPLにどのような影響を与え,MCIやADの予防に寄与するのかを明らかにすることは重要な課題である.
地域在住高齢者を対象に,VEP用いたIPL機能評価と身体機能を評価した結果,VEPと記憶に関する神経心理学的スコア,6分間歩行テストにおけるケイデンス(歩数/分)にそれぞれ有意な相関を認めた.しかし, COVID-19の影響により十分なデータ集積が行えなかったためさらなる検証は実施できなかった.
そこで,身体活動がIPL視覚処理に与える急性効果を検証するため,若年健常者を対象とし有酸素運動前後のVEPを比較した.その結果, 一過性の中/低強度有酸素運動のいずれにおいても,高次処理領域におけるVEP潜時が延長した.さらに,エネルギー代謝能が低い者ほど運動強度がVEPに反映されやすい傾向が示された.
以上より,VEPはMCI早期発見のための高感度バイオマーカーとして有効性が示唆され, IPLの視覚処理には身体機能やエネルギー代謝能,一過性の有酸素運動によっても変調することが示された.

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公開日: 2023-12-25  

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