研究課題
Kinect v2センサを用いて、身体合成重心の軌跡および身体合成重心の力学的エネルギー変換率をリアルタイムに表出するシステムを構築した。既存のシステムである三次元動作解析装置(VICON-T10カメラ8台+MX3カメラ6台)を用いたシステムと歩行動作を同時計測し、身体合成重心の検出精度を検討した。結果として、Kinect v2センサを用いたシステムの誤差率は0.52~0.66%であった。この結果から脳卒中片麻痺患者における身体合成重心の左右差などを指標としてリハビリテーションの効果判定を検討する際には十分活用可能であると考えられた。歩行過程における運動学的・運動力学的データおよび本研究でテーマとしている身体合成重心の力学的エネルギー変換率を計測するには、現状では大規模な計測空間と高価な三次元動作解析装置を有する実験室環境が必要である。脳卒中片麻痺のような重度の障害を呈する患者にとっては、これらの検査を行うために、わざわざ大学や大学病院の実験室に出向いて測定を行うことは現実的ではなく、理学療法や補装具の客観的な効果判定は普及していない。本研究で提案したKinectセンサを活用したシステムは既存システムと比較して誤差はあるものの、誤差率はリハビリテーションの介入や補装具の効果判定などの評価に支障のない範囲にとどまっており、ポータブルかつ低コストなシステムである。さらに、今後はKinectセンサ以外のセンサも活用し、より包括的な歩行評価システムも検討する予定である。
2: おおむね順調に進展している
Kinect v2センサを用いて、身体合成重心の軌跡および身体合成重心の力学的エネルギー変換率をリアルタイムに表出するシステムを構築することが出来た。計測精度に関しては、脳卒中片麻痺患者における身体合成重心の左右差などを指標としてリハビリテーションの効果判定を検討する際には十分活用可能であると考えられた。
今後はKinectセンサ以外のセンサも活用し、より包括的な歩行評価システムも検討する予定である。
(理由)研究成果発表のための学会旅費が当初の予定より多かったが、次年度使用額は3,503円と少額で、ほぼ計画通り支出した。(使用計画)健常者を対象とした臨床評価を計画している。人件費・謝金、学会発表旅費などを中心に支出する計画である。
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臨床歩行分析研究会誌
巻: 4 ページ: 21-27
巻: 4 ページ: 13-19