研究課題/領域番号 |
17K13064
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研究機関 | 北海道科学大学 |
研究代表者 |
春名 弘一 北海道科学大学, 保健医療学部, 講師 (00712168)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 歩行評価 / 臨床指向型システム / 人工知能 |
研究実績の概要 |
2019年度に開発したシステムは、より臨床志向の強い歩行評価システムを目指す目的で、データ検出に人工知能(AI)を活用したシステムを採用した。データ取得方法の概要としては、センサを用いて対象物を検出する方法ではなく、デジタルビデオカメラの画像(動画)情報を用いてAIのdeep learningによる画像認識技術を活用して歩行評価を実現するシステムを構築した。AIのdeep learningによる画像認識精度は飛躍的に向上しており、AIの技術はさまざまな人的労力の問題を解決する可能性があり、本研究においても活用できると考えた。 具体的な手法としては、ハードウェア面はノートPC1台とAI開発キッドJetsonTX2とし、LANケーブルで通信した。ソフトウェアはAIのdeep learningは骨格認識と歩幅を検出する目的で爪先、踵を加えた素材を学習させた。空間のキャリブレーション情報は、歩行路に任意の距離の床上に4ポイントの目印を付け、画面上で4つのポイント箇所を取り込むのみという、臨床志向の観点から非常に簡便な仕様とした。アプリケーションはビデオカメラ動画から足部情報を検出し、自動的に歩行速度、歩幅、単脚支持時間、ケイデンス、歩行比を算出するように開発した。また、“どれくらいの速さで、どれくらい正常に近い歩き方をしているか”という臨床上重要な指標を専門家以外のユーザーにも分かり易く提示する目的で歩行速度と歩幅の対称性指数の相関図(Gait Speed-Symmetry Index Correlationgram:以下,GSSIC)を表出する機能を付加した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2019年度の計画としては、実験室手法により得られたデータ(以下、従来法)と本システムで得られたデータとの差異、および誤差を最小化する手法を検討する。また、従来法と本システムとの関係性を分析し、統計学的見地から補正アルゴリムの確立を目指す段階であった。真値との差異は、未発表であるが実験は実施済であり、臨床現場で実装する上でも十分な計測精度であることが検証できた。
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今後の研究の推進方策 |
実際の高齢者および障害を持った方を対象とした臨床評価を行い、低歩行能力患者データを算出する。また、臨床で働く評価者にとっても本システムが臨床で運用可能であるか、質問紙法を用いて本システムの利点や問題点を明らかにする予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額は52,904円と少額であり、概ね計画通り進んでいる。
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