研究課題/領域番号 |
17K13065
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研究機関 | 常葉大学 |
研究代表者 |
中野 渉 常葉大学, 健康科学部, 講師 (50610995)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 身体活動 / 脳卒中 / 再発予防 |
研究実績の概要 |
本研究課題は回復期リハビリテーション施設退院後の脳卒中患者の1年間の追跡調査を通して,脳卒中患者における身体活動量を制限する要因について明かにすることを目的としている。本年度は回復期リハビリテーション病棟退院後6ヵ月,12か月の追跡調査を実施した。
本年度の成果は以下の通りである。 ・脳卒中後の男性42名,女性20名の身体活動データの比較より,身体活動量 (1日あたりの歩数)においては性別の影響がないことを確認した。一方で,身体活動が蓄積されるパターンについては性別の影響があり,家事活動などに代表される低強度の活動は,男性と比較して女性で多かった。対照的に,男性は低強度の活動が少なく,座位行動時間が長いことが示唆された。座位行動時間の延長は,身体活動と独立した心血管疾患による死亡や発症のリスク因子であることが報告されている。従って,脳卒中後の男性の座位行動を減らす取り組みが必要だと考えられた。
・脳卒中後の身体活動に関し,10分以上継続した中高強度身体活動が健康づくりのために注目されてきた。しかし,脳卒中後の中高強度活動についての報告は少ないため,検討を行った。検討の結果,10分以上継続した中高強度活動はまれであり,中高強度活動の大部分は5分以内であることが明らかとなった。近年,短時間の頻回な中高強度活動であっても,心血管疾患リスクが低下することが指摘されている。脳卒中後では,中高強度活動の大部分が短時間であるとの結果は,脳卒中後の運動療法や身体活動の指針を策定する上で重要な基礎的情報になると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題は回復期リハビリテーション施設退院後の脳卒中患者の1年間の追跡調査を通して,脳卒中患者における身体活動量を制限する要因について明かにすることを目的としている。本年度は回復期リハビリテーション病棟退院後6ヵ月,12か月の追跡調査を実施した。追跡調査は順調に終了し,ベースラインデータの解析から有益な結果が得られていることから,おおむね順調に進展していると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
追跡調査が終了したため,データ解析と研究成果の公表,論文化をする。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究成果を国際リハビリテーション医学会世界会議 (ISPRM)で報告する予定であったが,国内開催となったため,未使用額が生じた。未使用額は成果公表のための経費に充てることとしたい。
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