研究課題
脊髄損傷は、随意運動に関わる運動野と脊髄を結ぶ神経連絡が阻害されることで麻痺を呈する病態である。リハビリテーションは脳回路再編成を促し麻痺症状の回復を導く効果があると近年考えられるようになった。これらの現象を詳細に解析するには神経活動を細胞レベルの解像度で、長期間同時に計測する必要性が考えられた。そこで本研究では数100個の脳神経活動を同時記録できるカルシウムイメージング法を用いて、サル脊髄損傷モデルにおける局所回路再編成の正体を解明する。ラット両側皮質脊髄路損傷モデルに対し神経細胞活動の可塑性を検証したところ、運動野において208 ± 7.2個の神経細胞活動を記録できた(n=3)。このラットに左上肢の到達運動を行なう際の神経活動を記録したところ、12.7個(6.1%)の細胞が到達運動に関連して活動することが確認された。これらの神経細胞が、脊髄損傷前後でどのように推移するか検証したところ、損傷1-2週後では到達運動に関連する細胞が減少し、その後上昇することが確認された。一方、イメージング中にほとんど活動しないサイレント細胞や、到達運動以外の運動中に活動する細胞の数は損傷後に増加していた。マーモセット運動野の神経細胞活動を小型顕微鏡により計測したところ80-240個の神経細胞を同時記録することができた。このマーモセットがレバーを引く課題を行うと運動野の神経細胞活動が確認された。さらに、皮質脊髄路損傷を損傷前、損傷直後(麻痺)、回復期において動員される神経細胞が変化することが確認された。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件) 備考 (2件)
Cell Reports
巻: 21 ページ: 2191-2195
10.1016/j.celrep.2018.07.057
https://www.keio.ac.jp/ja/press-releases/2018/8/22/28-47376/
https://www.amed.go.jp/news/release_20180822-02.html