研究実績の概要 |
本研究課題は,軽負荷の反復運動後に生じる一次運動野の興奮性低下期間に,一次運動野の興奮性を高める介入を施行することによって,その介入効果が高まるかどうかを検証することを目的とした.我々は健常者9名を対象に,反復運動後に高頻度末梢神経電気刺激を施行し,介入効果が高まるかどうかを検証した.コントロール群は,反復運動をせずに安静にした後,電気刺激を施行する群とした.その結果,コントロール群においては一次運動野の興奮性が増大したものの,反復運動課題後に電気刺激を施行した群では,興奮性増大効果が消失する結果となった.次に我々は,近年注目を集めている非侵襲的脳刺激法である経頭蓋交流電流刺激法を用いて再検証することとした.そこでまずは経頭蓋交流電流刺激の最適な介入方法を検討した.その結果,一次運動野と小脳に対して1 mAの強度および70Hzの周波数で刺激することにより,運動パフォーマンスを向上させる効果があることが明らかになった(Miyaguchi et al., Frontiers in behavioral neuroscience, 2018).また電極間の電流の位相は逆位相が有効であり(Miyaguchi et al., Neuoscience letters, 2018),その効果は刺激強度には依存しないことが明らかになった(Miyaguchi et al., Journal of clinical neuroscience, 2019).今後は今回明らかになった経頭蓋交流電流刺激の刺激方法を用いて,軽負荷反復運動課題との併用効果を検証する必要がある.
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