研究課題/領域番号 |
17K13088
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研究機関 | 奈良先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
丁 明 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 助教 (40585840)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | ロボットハンド / 温度制御 / 撫でる動作 |
研究実績の概要 |
本研究は人と接触できる柔軟な物体を操作するロボットハンドの開発により,接触相手の気持ちを感じ,自分の気持ちも相手に伝える手法を提案することが目的である.昨年度は撫でる動作に注目して,それに必要なロボットハンドの構造について検討を行った.本年度は研究の第二年度で,昨年の検討結果により,本年度は人を撫でる動作に適するロボットハンドを開発し,その有効性の検証を行った. まず,人の手と同じ形状と構造を持つロボットハンドを設計し試作した.人の手の骨機構は骨の三次元形状データを用いて,3Dプリンターをにより制作した.人の手の関節の弾性要素を表現するため,関節の部分はトーションバネで連結し,受動機構により撫でる動作中の接触力を表現することを可能にした.骨の外部は人肌ゲルを用いて,人の手の形状と同じ形で造形した.柔軟な部分を作成することで,手の柔らかさを再現した.試作したロボットハンドの中に電熱線と温度センサも埋め込んた.人の手の温度を計測し,その温度を再現することで,手の暖かさも再現した. 更に,試作したロボットハンドをロボットアームの先端に取り付けた.人間の撫でる動作を計測し,その動作をまねした簡単な撫でる動作を作成した.生成した動作を用いて,被験者を撫でることにより,ロボットハンドの有効性を検証した.アンケート調査の結果は試作したロボットハンドと撫でる動作が人と似た触感を持ち,人に癒やす効果があることが示された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は人と接触し気持ちを感じる・伝わるロボットハンドを開発するため,当初の予定通り本年度は,(1)温度制御と計測のロボットハンドの試作と(2)接触時の動作と力の制御. (1)試作したロボットハンドの中に電熱線と温度センサを埋め込み,人のハンドと同等な温度になるように制御ができて,アンケート調査によりその有効性を示した.ハンドの表面近いところにも温度センサを取り付け,接触相手の温度の計測が可能にし,接触温度の計測は来年度で行う予定である. (2)バネやロボットアーム先端の位置制御により,ロボットハンドによる撫でる動作を生成し,その有効性は調査した.人と同じレベルの動作が実現できた結果が得られた.
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今後の研究の推進方策 |
本年度で試作したロボットハンドで得られた結果に基づいて,最終年度はロボットハンドが人を撫でる時の接触力と温度を同時に制御し,効果的な撫でる動作を生成する. 更に,VRなどの技術を用いて,ロボットハンドの構造を含め,開発したシステム全体の有効性を確認する.
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は温度計測・制御ユニットの試作は自作により手法の有効性を確認した.そのため,物品費の支出が当初の予定より少なかった.開発・制作依頼は来年度に行うことを検討しており,そのために使用する予定である.
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