研究実績の概要 |
本研究では、心臓血管外科手術後の腎機能障害に対する持続的血液濾過透析(CHDF)中における早期離床(Early Mobilization, EM)の実施が,身体機能低下の予防,早期の歩行自立など術後経過に及ぼす影響を検証した。まず検証の第一段階として、CHDF中のEMの安全性の検討を行い、EMが中断されるレベルの有害事象の発生は認められずに実施可能であることが確認された。第二段階の検討としては、CHDF中のEMが、術後の離床経過や、歩行自立に与える影響についての検証を実施した。ヒストリカルデータによる比較検討では、その結果、心臓血管外科術後のCHDF中のEM実施群では、CHDF中のEM非実施群と比較して対象者の重症度に有意差はない状況であったが、歩行自立までを含めた術後の離床の進行が早期化し、さらにトイレ歩行の開始などADLの拡大状況の改善や、在院日数の短縮化などの有意な変化が認められ、CHDF中のEMがもたらす効果が実証された。また本研究を行っていく中で、待機的な心臓血管外科手術で術後経過が安定している場合、術翌日はCHDF開始前にEMを行い、その後速やかにCHDFを開始するなど術後管理の方法についても改良の可能性が見出されたことも、本研究の新たな成果であると考える。
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