認知症前段階の軽度認知障害を発見し認知症の発症を5年遅らせることができれば,認知症を半数にできると試算されている。しかし、様々な理由により軽度認知障害の発見は困難という実情がある。 本研究では、まず非接触型の簡便な視線計測システムを試作した。次に、若年者を対象とした計測信頼性の確認をした。最後に、認知機能の低下による視線の移動速度の低下や特異的な眼球動作が現れることを数例確認した。受動的測定に当たる本手法は、従来の従来のスクリーニング検査法である能動的測定のMMSE等との併用も可能であると考えられ、短時間で視線の計測と解析が可能である。 本手法を認知症患者や軽度認知障害を有する高齢者に適用する際の課題として、より簡便で直観的かつ自動的に測定が行えるような計測システムへと改良が必要であること、認知機能の低下と視線の関連をより明らかにするための検討が必要であることが分かった。
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