研究課題/領域番号 |
17K13104
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研究機関 | 鈴鹿医療科学大学 |
研究代表者 |
中村 太郎 鈴鹿医療科学大学, 医用工学部, 助教 (70373082)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ウェラブルデバイス / スマートテキスタイル / 生体計測 / IPMC |
研究実績の概要 |
本研究では、人の動きと心電図や筋電図のような生体電気信号などの複数の生体情報を常時モニタリング可能なウェアラブル生体情報モニタリング装置の開発を目的としている。 平成29年度はIPMC(Ion Polymer Metal Composite)をセンサ素子に用いた運動検知用スマートテキスタイルで、人の動きと心電図及び筋電図を同時計測し、モーションセンサと生体電気信号センサの複合型センサの実用性を示すことと、同時計測した信号のモーションセンサの信号と生体電気信号とを分離して判別を行う信号処理方法を明らかにするため、以下の実験を行った。 1)IPMCを用いて作製した電極で心電図計測を行い、生体電気信号用電極としての実用性の検証を行った。その結果、医療用ディスポーザブル電極で計測した場合と同様の波形を得ることができた。 2)IPMCをスポーツ用サポーターに組み込んで、運動計測と生体電気信号計測が可能な複合センサを作製した。作製した複合センサを手首に装着し、手首の屈曲運動時の変位による起電力と筋電図及び心電図の同時計測を行い、それぞれの信号が合成された波形を得ることができた。 3)合成波形の信号処理複合センサから得られた合成波形にフィルタ処理を行って、それぞれの波形に分離することを試みた。心電波形と筋電波形の分離は、心電計測と筋電計測で用いている遮断周波数を用いることで分離を行い、変位波形は高域遮断周波数を1Hzにして分離を行った。その結果、心電波形、筋電波形、変位波形、それぞれ3つの信号を分離し、判別することが可能となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
IPMCを用いた生体電気信号用電極は、ディスポーザブル電極と比較しても遜色の無い特性を有していることが明らかとなり、試作したウェアラブルセンサは、運動による変位と表面筋電図及び心電図を同時に計測可能であった。また、計測した合成信号はフィルタ処理を行うことで容易にそれぞれの信号に分離して判別が可能となり、平成29年度の目標を達成したため。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、肘と膝関節用のサポーターを用いて、それぞれの関節に適したセンサのサイズ及び配置を明らかにする。また、筋電図と変位センサの波形から運動の種類や姿勢を推定する方法を確立するため、動作解析プログラムを導入して実験を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成29年度に多用途生体情報解析プログラムと動作解析プログラムを購入予定であったが、動作解析を行う実験は平成30年度から行う予定であり、平成29年度には動作解析プログラムの購入をしなかったため。 平成30年度は動作解析プログラムを購入して動作解析を行う実験環境を整備する。また、IPMC作成に必要な薬品と試料の購入を予定している。
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