研究課題/領域番号 |
17K13106
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研究機関 | 甲南女子大学 |
研究代表者 |
野添 匡史 甲南女子大学, 看護リハビリテーション学部, 准教授 (10733298)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 神経伝導検査 / 神経筋電気刺激療法 |
研究実績の概要 |
急性期脳卒中患者におけるサルコペニアに対して、末梢神経機能がどのような影響を与えているか検証を行った.末梢神経機能検査の一つである神経伝導検査(総腓骨神経)を急性期脳卒中患者13名に対し入院時及び2週間後の2度行い、同時にサルコペニアの指標として大腿四頭筋筋厚を評価した.その結果、総腓骨神経の運動神経伝導速度は麻痺側、非麻痺側ともに2週間で変化がないものの、複合筋活動電位は麻痺側でのみ有意に減少し、特にこの現象の程度は麻痺側大腿四頭筋筋厚の変化と有意な相関を示した.これらの結果より、急性期脳卒中患者のサルコペニアにおいて、麻痺側下肢の発生は末梢神経障害と関連があることが明らかにされた. 次に、この急性期脳卒中患者で生じるサルコペニアに対する神経筋電気刺激療法の効果を検証するために、急性期重症くも膜下出血患者1例に対して神経筋電気刺激療法を実施し、その前後でサルコペニアの評価である筋厚評価と神経伝導検査を実施した.その結果、筋厚変化は先行研究で報告されている以上のレベルまで減少し、また複合筋活動電位もICU-AW症例と同レベルまで低下した.これらの結果より、重症疾患患者で末梢神経障害を合併する場合は、従来から行われている神経筋電気刺激療法では効果が生じにくいことが考えられた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
急性期脳卒中患者の末梢神経機能と筋機能との関連が明らかにできた.また、神経筋電気刺激療法の有効性可否に関し、末梢神経機能が関与している可能性も示唆できはじめている.
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今後の研究の推進方策 |
急性期脳卒中患者における末梢神経機能と筋機能との関連性についてデータ蓄積を継続し、両者の関連性、他の要因との関連性について明らかにする. また、末梢神経機能障害存在下であっても有効な神経筋電気刺激療法のプロトコルの作成を行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定より論文化が遅れたため、次年度使用額が生じた。 よって、次年度以降に論文化及び発表のための学会出張を行う。
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