本研究の目的は、軽度認知機能障害(Mild Cognitive Impairment: MCI)を有する地域在住の安全運転を支援するデバイス開発に向けた基礎研究として、①運転に対する意識や態度などの心理的特性および運転技能について横断的に把握すること、②どのような特性あるいはどれくらいの運転技能を有するMCI高齢運転者が将来交通事故、違反あるいはヒヤリハット経験を発生しやすいのかを縦断的に明らかにすること、である。 上述の①を踏まえたうえで、昨年度まで新型コロナウイルスの影響で実施できなかった、運転に対する心理的特性や運転技能が交通事故、違反、ヒヤリハット経験の発生と関わるか否かを縦断的に検討するためのアンケート調査を本年度は行う計画であった。郵送には住所など個人情報が必要だが、それらは愛知県にあり、以前勤務していた国立長寿医療研究センターにて厳重に保管されている。重大な情報のため直接出向き受け取る予定だったが、本年度も昨年度に続き新型コロナウイルスの影響により長期にわたり対象者の情報の受け取りが困難な状況となった。しかし、新型コロナウイルスが少し落ち着いた状況を踏まえ、年度末に先方に直接出向き調査に必要な情報を得ることができ、アンケート調査を計画通り実施することができた。 本年度までに得られた調査結果について解析を進め、今後、日本老年医学会、日本老年社会科学会などさまざまな学会で研究成果について発表する予定である。また、Geriatrics & Gerontology Internationalをはじめとする学術雑誌への投稿も随時行っていく。
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