研究課題/領域番号 |
17K13113
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
木村 哲也 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 准教授 (60533528)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 静的二足立位 / 身体システム / 筋活動 / 身体動揺 / 寒冷負荷 |
研究実績の概要 |
本研究は、立位バランス調節システム及び循環調節システムの両システムが、静的二足立位姿勢条件においては、力学的及び神経生理学的に連関・協働している可能性を検討するものである。 初年度は、静的二足立位姿勢において、立位バランス調節システムが循環調節システムに与える効果について実験的に検討を行うことを目的とした。具体的に、静的二足立位姿勢において、足関節運動を外部から固定し、実験的に身体動揺を抑止する条件を設定した。身体動揺抑止時の下腿三頭筋筋活動の抑制については、表面筋電図法から確認を行った。被験者は若年者8名とし、床反力計上における通常の静的立位条件(コントロール条件)及び実験的に設定した固定条件における、循環調節システムの各パラメータ(毎拍血圧、心電図RR間隔等)の応答の違いから、静的二足立位における下腿三頭筋の筋収縮が循環調節システムに与える力学的効果の抽出を行った。 次に、循環調節システム要素の変化が立位バランス調節システムに与える影響について実験的検討を行った。若年健常者を対象とし、静的二足立位保持中に、寒冷負荷により実験的に血圧を上昇させることを試みた。予備的実験を繰り返し、実験的検討を行うために適した条件(刺激を与える部位、刺激の温度、刺激継続時間等)を求めた。その上で、本実験を行い、循環調節システムへ外乱を加えた際の、循環調節システム、立位バランス調節システムの各パラメータ(毎拍血圧、心電図RR間隔、足圧中心位置、腰部前後位置、下肢筋活動等)の応答時系列を測定した。こちらの実験に関しては、現在解析を進めている。 これら一連の研究は、両調節システムの関係性について実験的に明らかにするものであり、基礎的知見として重要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実験装置の都合でH29年度に予定していた実験の一部をH30年度に延期し、H30年度以降に予定していた実験の一部をH29年度に前倒して行った。しかしながら、このことにより実験計画全体に影響を与えるものではなく、交付申請書内の「研究の目的」、「研究実施計画」に記載された一連の研究が研究期間内で完了できるよう、順調に実験を進めることができている。 予備的実験の結果から本実験の条件設定を行う際や実験装置の作成を行う際、神経生理学及び生体工学の研究協力者からの助言や技術援助を得ることができ、効率的・効果的に研究を進めることができている。さらに、データ解析や解釈についても研究協力者とのディスカッションを行い研究成果の取り纏めを進めている。
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今後の研究の推進方策 |
まず、H29年度に前倒しして行った実験について解析を進める。そしてH30年度に延期した課題として、H29年度の第一の研究で実験的に明らかになった身体動揺及び下腿筋活動の抑制が循環調節システムに与える影響について、さらにそのメカニズムを明らかにするための実験を行う。 一方でH29年度に得られた研究成果について論文投稿に向け取り纏めを進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験装置の作成等が必要なH29年度実験計画の一部をH30年度に延期したため、繰越額が生じた。繰越額についてはこれらの費用に主にあてるとともに、翌年度分として請求した助成金については翌年度に行う実験に必要な物品購入及び研究成果発表のための費用にあてる計画である。
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