ヒトの二足立位は不安定な構造であり、立位バランス調節システムが働くことにより姿勢が維持される。一方で、立位時には、重力の影響に対して各組織への血流を維持するために、循環調節システムが働く。二足立位時には、これら2つの調節システムが同時に活動するが、従来互いに独立して機能すると捉えられてきた。一方で近年、両調節システムが双方向に関連している可能性が指摘されているが、その生理学的意義やメカニズムに関して不明な点が多い。これに対し、本研究は両調節システムが生理学的に影響を及ぼし合う可能性を実験的に示したものであり、不明な点が多い立位バランス調節システムの基礎メカニズム解明に貢献しうるものである。
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