競技特性の「連係ラリー」発展過程に焦点を当て「学習プログラム」の構築を目指した研究はほとんど見当たらない。本研究では、学校体育で実践可能なバレーボールにつながるネット型ゲームにおける戦術アプローチによる学習プログラムの構築を最終的な目的とした。 研究計画として、まず、戦術アプローチによる学習プログラムの構築のために、連係プレーによる攻防(以降、連係ラリー)によって、ゲーム様相がどのように発展していくかを検証し、発展過程の分類を目指した。そのために、平成29年度~平成31年度にかけて、小学校の低学年、中学年、高学年および中学生の異なるカテゴリの授業実践を分析した。その結果、カテゴリが異なれば発展過程が異なるものの、出現するゲーム様相の種類については大きな違いがないことが示唆された。 次に、その分類を踏まえて、ゲーム様相が発展していくための発展課題を検証し、発展課題に応じた練習方法や評価方法を体系化し、具体的なネット型ゲームの教材開発を目指した。その結果、ゲーム様相の発展過程は、カテゴリや学習集団・学習者によって異なっており、発展課題も異なることが示唆された。関連して、練習方法や評価方法についても、個別性が高いものであることが示唆された。加えて、ネット型ゲームの教材開発に関しては、キャッチバレーボールなどの既存の教材を基に、ゲームの人数・コートサイズ・ネットの高さなどの環境要因を、柔軟に適応させることで、学習集団・学習者にとって最適な教材開発が実現することが示唆された。
|