研究課題/領域番号 |
17K13119
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
加納 岳拓 三重大学, 教育学部, 准教授 (50734810)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 聴く / 協同 |
研究実績の概要 |
小学校低学年の行動面の課題に対して、体育学習の効果を実証する研究が進められてきているが、これまでの研究が、質問紙やインタビューによる分析が中心となり、行動への効果の過程がブラックボックス化しているために、教室での学習行動と体育学習での活動場面の関係を行動レベルで明らかにすることを試みている。 具体的には、小学校1年生を対象にした教室における授業(算数科)での他者(先生、他の児童)の話を聴く場面と体育授業内の仲間と協同する活動場面(宝運び鬼:鬼役2人対子役3人)の関係性を分析した。分析は、①教室の授業中の聴く姿勢を評価し、各児童の評価点数(姿勢値)と、鬼遊びの得点の相関の分析、②姿勢値が良い鬼のペアのゲームと姿勢値が悪い鬼のペアのゲームを1ゲームずつ抽出し、鬼2人の動きや距離の分析、③抽出ゲームの1場面の鬼2人と子3人の動きの軌跡から特徴の事例的な検討、の3点から行った。その結果、他者の話を聴く場面で注意が逸れる傾向にある姿勢値が悪い児童は、鬼となった時に失点が多く、その原因として体育授業内の仲間との協同が求められる活動場面にもかかわらず、仲間の動きに注意が向けられず自分の興味関心や刺激の強い情報に基づいて動く傾向があるからであると考えられた。一方で、他者の話を聴く場面で適切に対象へ注意を向けられる姿勢値が良い児童は、鬼となった時の失点が少なく、体育の活動場面でも課題を達成するために、仲間の動きや位置に注意を向け、他者に合わせながら位置や動きを変えている傾向が見られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
教室での学習行動と体育授業の活動中の行動には一定の関係性が見られてきている。さらに、身体運動が教室での学習行動に影響を及ぼすのかについての研究計画を立てており、小学校の現場とも話を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
教室での授業の学習行動と体育学習の活動場面の行動との関係性の分析をさらに進めまとめる。ここまで進めてきた研究では、課題の達成に向けて注意の定位という観点から関係性を見ているため、今後はより詳細に関係性を分析していく。具体的には、教室における授業におけるペア活動やグループ活動での児童間の相互行為と体育学習の活動中の相互行為の関係性に着目する。さらに、他者との協同が求められる身体運動の経験が、教室での授業での行動変容に影響素及ぼすのかについて、縦断的な研究を進める。
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