研究課題/領域番号 |
17K13127
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
羽谷 沙織 立命館大学, 国際教育推進機構, 准教授 (10576151)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | カンボジア / 古典舞踊 / 観光 / ゲイ古典舞踊団 / 継承者 / ジェンダー |
研究実績の概要 |
2019年度、本研究「カンボジア古典舞踊の観光化:観光舞踊が担う「正しい」クメール文化の表象と妥協」は2年目を迎えた。2019年度は対象とするカンボジア古典舞踊の観光化について現地調査を実施し、カンボジアにおけるツーリズムの新しい動きを考察するとともに、2015年に創設したカンボジアゲイ古典舞踊団Prumsodun Ok & NATYARASAの意味についても考察を進めた。現地調査は、2019年8月21日から31日まで実施し、おもに観光地シアム・リアプにおける舞踊団(Cambodian New Artist, Shadow Restaurant, Angkor Dynastyなど)を訪問し、インタビュー調査を実施した。また、9月8日から15日までカンボジアを再度訪問する機会を得たことから、Prumsodun Ok & NATYARASAの創設者であるプルムソドゥン・アオクに面会し、インタビュー調査を重ねた。またこの時、研究の社会的アウトリーチ活動、現地社会への研究の還元という目的から以下のワークショップを総合私立大学パンニャサ大学において実施した(Introduction Workshop "Who serves as legitimate stewards of Khmer classical dance?-tradition and Modernity" Pannasastra University of Cambodia, Phnom Penh,2019/09/09)。他方、調査内容については研究業績として論文・学術口頭発表として公開しただけでなく、以下の高校における出前授業を通して日本社会へ還元した(京都華頂女子高等学校における出前授業「伝統を担うのは誰か?―カンボジア古典舞踊が担う新しいクメール文化の形」,華頂女子高等学校、京都市東山区,2019/10/25-2019/10/25)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
カンボジア古典舞踊における新しい動きとして、カンボジア初のゲイ古典舞踊団の台頭が見逃せない。これまで、カンボジアの古典舞踊は女性が継承するという所与の前提があったが、2015年にプルムソドゥン・アオクがPrumsodun Ok & NATYARASAを設立したことから、この前提を疑問視する潮流が生まれている。2019年度はプルムソドゥン・アオクが来日した際に、立命館大学および京都大学にて公開セミナーを実施し、研究者とのダイアローグ、学生へのレクチャー、ディスカッション、実技ワークショップを開催した。これらの活動を通して、プルムソドゥン・アオクに直接インタビューする機会を得、カンボジアにおけるゲイ古典舞踊団の位置づけについて理解を深めることができた。以下、日本で行ったプルムソドゥン・アオク(羽谷沙織通訳、コーディネーター)による活動の内容である。 カンボジア初のゲイ古典舞踊団創設者プルムソドゥン・アオク特別講演ーカンボジア舞踊にみる伝統と社会変容(実技ワークショップ含む),立命館大学衣笠キャンパス& BKCキャンパス 2019/07/03-2019/07/04 Special Lecture Forming Cambodia's First Gay Dance Company,Toani Tei, Inamori Foundation Building, Center for Southeast Asian Studies (CSEAS), Kyoto University.またカンボジアでは出前授業も実施したIntroduction Workshop "Who serves as legitimate stewards of Khmer classical dance?-tradition and Modernity", 2019/09/09.
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今後の研究の推進方策 |
2020年度は、科研費研究(若手研究(B)「カンボジア古典舞踊の観光化:観光舞踊が担う「正しい」クメール文化の表象と妥協」)の最終年度である。コロナ・ウィルスの影響でフィールドワークの機会および日本国内はもとより諸外国での発表機会がほとん確保できない見通しではあるが、論文執筆に注力したい。以下は2020年度予定 ただしコロナ・ウィルスの影響で未定のもの含む。1.カンボジア古典舞踊とその教育におけるオルタナティブな声の表象―性の多様性、ディアスポラ、カンボジア初ゲイ古典舞踊団、アジア教育学会 2020/04/25(発表予定であったがコロナ・ウィルスの影響で中止。ただし、原稿の提出をもって発表したとみなすとの学会方針)。2.Negotiating Boundaries of Khmer Classical Dance Sex, Diaspora and Cambodia’s First Gay Classical Dance Company,The 56th Japan Comparative Education Society 2020/07/10 3.The innovative role of vanguard diaspora in Khmer classical dance Biennial Comparative Education Society of Asia (CESA), Kathmandu, Napal. 2021/09
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