本研究は、カンボジア古典舞踊(ロバム・ボラン)を事例に、継承者たちが質(舞踊教育)と内容(舞台演出・演目)に妥協点を見出しながら、どのように「正しい」クメール文化を表象していこうとしているのかの動態を考察することを目的とした。研究を進めるなかで、観光舞踊と呼ばれるジャンルにおいて、カンボジア初ゲイ古典舞踊団Prumsodun Ok & NATYARASA(以下、PrumN)が注目を集めている動きを発見した。本研究ではとくにその創設者のプルムソドゥン・アオク(Prumsodun Ok)およびPrumNを焦点化しながら「正しい」クメール文化の表象をめぐる新しい動きについて調査を重ねた。
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