研究課題/領域番号 |
17K13130
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研究機関 | 山形県立米沢女子短期大学 |
研究代表者 |
比留間 浩介 山形県立米沢女子短期大学, 社会情報学科, 准教授 (60588440)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 腕振り / 男女差 / キネマティクス / 短距離走 |
研究実績の概要 |
小学生における短距離走(かけっこ)の技術に言及した指導書や学習指導要領解説をみると「腕を大きく振る」、「肘を90度に曲げて振る」といった内容が数多く記載されている。しかしながら、実際の疾走中における腕振りの大きさや肘関節の屈曲・伸展動作の実態については明らかにされておらず、不明な点が多い。そこで、29年度は、疾走中の腕振りの大きさおよび肘関節の屈曲・伸展動作の実態と疾走能力との関係についてキネマティクスの観点から検討した。対象者は小学校1~6年生の児童136名であり、50m走を側方に設置したビデオカメラ(120fps)で撮影し、その映像を基に2次元動作分析を行なった。その結果、腕振りの大きさは、男児では、低学年(1~2年)と高学年(5~6年)において疾走速度およびストライドとの間に有意な相関関係が認められ、特に高学年において相関係数が大きかった。一方、女児では、有意な相関関係が認められたのは低学年のみであった。これらのことから、腕振りの大きさが疾走能力に及ぼす要因には男女差がみられ、それは特に高学年になると顕著になることが示唆された。一方、肘の屈曲・伸展動作については、疾走中の肘関節の動作範囲は年代が上がるにつれて大きくなることが明らかになった。また、疾走速度、ストライド(身長比)と動作範囲および最大角度との間に男女共に有意な相関が見られた。これまで、疾走中の肘関節角度は屈曲を保つことが望ましいとされてきたが、本研究の結果から疾走速度やストライドが大きい児童ほど肘の屈伸が大きいことが明らかになった。したがって、これまでの指導方法や観察の観点を再考する必要があることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初、29年度には、観察的な動作評価法を用いた腕振り動作の類型化(質的分析)を実施する予定であったが、測定協力校との兼ね合いから30年度に実施予定であったバイオメカニクスの観点からの腕振り動作と疾走速度との関係について研究を進めた。予定通り疾走動作の撮影およびバイオメカニクス的な分析も進めることができたため、おおむね順調に進展していると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は観察的な動作評価法を用いた腕振り動作の類型化(質的分析)を実施するために幅広い範囲の年代を対象に撮影を行い、類型化の作業を実施する。また、本研究課題では縦断的な分析も行うため、引き続き29年度に実施した協力校を対象とした測定、分析を実施する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定より競技会での撮影許可が多く下りたため、当初の予定より旅費や人件費に多く使用した。そのため当初予定していた物品の購入ができず残額が生じた。購入予定であった物品は29年度の残額と30年度の助成金を合わせて購入する予定である。
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