研究課題/領域番号 |
17K13132
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研究機関 | 沖縄工業高等専門学校 |
研究代表者 |
久米 大祐 沖縄工業高等専門学校, 総合科学科, 講師 (50650628)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 20mシャトルラン / 筋脱酸素化 / 子ども / 大人 / パフォーマンス |
研究実績の概要 |
平成29年度は,20mシャトルラン(20mSRT)における筋脱酸素化加速開始点が生じる相対的強度を子どもと大人で比較した.また,筋脱酸素化加速開始点が出現するタイミングと20mSRTパフォーマンスに関連性があるか否かを検証した. 24名の男子(Boys)(平均年齢11歳)および29名の若年男性(Men)(平均年齢19歳)を対象とした.なお,Menのデータは,我々の先行研究(Kume et al., Clin Physiol Funct Imaging 2018)から引用利用した.対象者は,文部科学省新体力テストの実施要領に準じて20mSRTを行った.その際,外側広筋の組織酸素動態(携帯型近赤外分光装置)および心拍数(ハートレートモニター)を連続的に記録した.酸素化ヘモグロビン(Oxy-Hb)と脱酸素化ヘモグロビン(Deoxy-Hb)の変化量の差分(Δ[Oxy-Hb-Deoxy-Hb])を筋脱酸素化指標とした.対象者毎にΔ[Oxy-Hb-Deoxy-Hb]の経時変化の回帰分析を行い,2本の回帰直線の交点を筋脱酸素化の変曲点とした.2本目の回帰直線が1本目よりも負の傾きを示した場合,当該変曲点を筋脱酸素化加速開始点と定義した. 筋脱酸素化加速開始点は,Boysでは24名中11名(46%),Menでは29名中20名(69%)で認められた.筋脱酸素化加速開始点が生じた相対的運動強度(最高心拍数に対する割合)は,Boysでは96±2%,Menでは89±3%であり,Boysの方が有意に高い値であった.筋脱酸素化加速開始点が出現した折り返し回数と累積折り返し回数の間には有意な正の相関関係がBoys(r=0.87,P<0.01)およびMen(r=0.78,P<0.01)ともに認められた. 本研究の結果から,20mSRTにおける筋脱酸素化加速開始点は子どもの方が大人よりも相対的に高い強度で生じることが明らかとなった.また,筋脱酸素化加速開始点が出現するタイミングは20mSRTパフォーマンスと関連することが示された.本研究成果は,Pediatr Exerc Sciに掲載が受理された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
所属機関のトレッドミルの故障により,予定していた最高酸素摂取量の測定が実施できなくなり,平成29年度は当初の研究計画を一部変更して研究を進めることになった.具体的には,子どもを対象とした実験を前倒しで行い,我々の先行研究の大人のデータとの比較を行った.研究計画の変更はあったものの,研究成果を論文にまとめることができたため,「おおむね順調に進展している」と判断した.
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度より申請者の所属機関が変わり沖縄高専→沖縄大学),それに伴い研究環境が大きく変わった.当初の研究計画から変更を余儀なくされる部分があるが,柔軟に対応して研究を進めていきたい.
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次年度使用額が生じた理由 |
繰越金額(約4万円)は実験実施の消耗品に充てる予定である.
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