研究実績の概要 |
2019年度は、昨年度に引き続き,20mシャトルラン(20mSRT)中の筋脱酸素化指標と自律神経活動動態の関連性を検討した. 男子大学生11名を対象に文部科学省新体力テストの実施要領に準じて20mSRTを行った.その際に,外側広筋の組織酸素動態および心電図を連続的に記録した.筋脱酸素化指標の解析は,我々の先行研究(Kume et al. Clin Physiol Funct Imaging 2018, Kume et al. Pediatr Exerc Sci 2018)に準じて行った.すなわち,対象者毎にOxy-HbとDeoxyHbの変化量の差分(Δ[Oxy-Hb-Deoxy-Hb])の経時変化の回帰分析を行い,2本の回帰直線の交点を筋脱酸素化の変曲点とした.2本目の回帰直線が1本目よりも負の傾きを示した場合,当該変曲点を筋脱酸素化加速開始点と定義した.心電図データから,副交感神経活動の指標としてroot mean square of successive differences in R-R interval(RMSSD)を算出し,先行研究の方法に準じて変曲点の抽出を行った.筋脱酸素化加速点は,11名中8名で認められた.RMSSDの変曲点は,全ての11名全員で認められた.各変曲点が出現したタイミングの間には有意な相関関係は認められなかった. これらの結果から、20mSRTにおける筋脱酸素化加速点の出現に副交感神経活動動態の変化は関与しない可能性が示唆された.
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