本研究では代表的な古流剣術である新陰流の道場を参与観察し、①形に込められた思想、②形の実践方法、③形の復元方法についてそれぞれ明らかにすることを目指した。 ①については、相手の攻撃動作を出し切らせつつそれを捌くことで、こちらは優位な立場を維持しつつ相手を殺傷せずして勝つことに見出せるのではないかと論じた。②については、柔道や剣道などの近代武道において形は決められた所作を反復するものと一般に考えられているが、古流では太刀の基本的な使用法は順守しつつも、決められた所作を逸脱して自由に打ち合う稽古が行われていることを明らかにした。 ③についてはコロナ禍もあり、調査できずに課題として残された。
|