研究課題/領域番号 |
17K13136
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研究機関 | 日本女子体育大学 |
研究代表者 |
山川 啓介 日本女子体育大学, 体育学部, 講師 (60783785)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 3次元動作分析 / 筋電図 / 筋シナジー |
研究実績の概要 |
本年度の実績として、フラッターキック(FK)とドルフィンキック(DK)における筋活動パターンを筋シナジー解析法を用いて分析した。その結果、両キック動作における1周期中の左下肢の筋電図 (EMG)データから3つの筋シナジーが抽出された。両キックにおいて、シナジー#1は,前周期のけり上げ局面の後半からけり下げ局面前半で主に活動し、主に下肢前面の筋(大腿直筋,外側広筋,大内転筋,前脛骨筋)が含まれていた。シナジー#2は、けり下げ局面の序盤からけり上げ局面の序盤で主に活動し、主に臀部の筋(大臀筋,中臀筋)が含まれていた。シナジー#3は、けり下げ局面の終盤からけり上げ局面中盤で主に活動し、主に背面の筋(大腿二頭筋と腓腹筋)が含まれていた.キック間の比較において、Muscle synergy vectorの各要素には有意な差は示されなかった.また、シナジー活動様相に大きな違いはみられなかったものの、シナジー#3の活動時間はFKのほうが有意に長いことが確認された (FK36.3±9.5% vs DK 28.0±8.9%, p < .05)。これらの結果から、各キックの動作は、けり下げ動作に伴った股関節の屈曲、膝関節の伸展、足関節の背屈に関わるシナジー、けり上げ動作に先行した股関節の伸展動作に関わるシナジー、けり上げ動作に伴う膝関節の屈曲と足関節の底屈に関わるシナジーで構成されていることが示唆された。この成果は、それぞれのキック動作に関わるモーターコントロールを示すものであり、キック技能の効果的な学習の一助となると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究課題Ⅰについては、筋シナジー解析を導入することで複雑な筋コーディネーションを描写することが可能になった。その一方、研究課題Ⅱで実施する足部流体力測定について、フラッターキックとドルフィンキックでは応用できない可能性が指摘されたため、実験設定について再度検討している。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度と平成30年度の成果として、水泳キック動作における3次元動作と筋活動パターンを詳細に分析できた。そのため、本年度は研究課題Ⅱの計画を変更して、水泳キック動作の3次元動作と筋活動パターンをさらに詳細に分析する実験を実施することとする。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究課題Ⅱの実験準備が次年度に見送られたため、次年度内に実験で必要となる物品購入費に充当する
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