本研究は、一流競泳選手の水泳キック動作における3次元的特徴を明らかにすることを目的とし、令和2年度ではキックの3次元動作、筋電図、足部流体力を同時に測定する実験を実施するとともに、これまでの研究成果を国内外へ発表することを年度目標としていた。 令和2年度の成果として、10月から1月において、平泳ぎキック中の3次元動作、筋電図、足部流体力を同時に測定し、キックによる推進力発揮と動作で生じた筋活動の関係を調査する実験を実施した。この実験成果として、泳速度の上昇に伴った推進力増加に対して、筋活動はその約3乗倍に比例して増加する可能性が示唆された。この結果について、本実験で対象とした平泳ぎキックのみならず、水泳中の筋活動と推進力発揮の関係性を解明するための一助となる知見を示したと考えられた。今後はこの研究成果をまとめ、国内外の学会または学術雑誌で発表する予定である。 また、令和2年度では平成30年度内に実施した実験データを用いて国際学会38th International Society of Biomechanics in Sport Conferenceで発表し、研究プロシーディングが掲載された。この研究発表では、水中ドルフィンキックにおいて泳速度変化に主に動作速度などの時間的変数が主に関与していることを明らかにし、さらに股関節の内/外旋速度などの3次元的な関節運動も泳速度変化に関与している可能性を提示した。これらの結果は、水中ドルフィンキックの適切な泳速度制御に関する有益な情報を提示することに貢献したと考えられた。
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