本研究課題である競泳のスタート局面のパフォーマンスについて、2019年度日本体育学会において口頭発表を行うとともに、論文を投稿した。発表演題;フィン着用によるドルフィンキックの動作変化と下肢柔軟性との関係.(要旨)本研究ではフィンの有無による水中ドルフィンキックのパフォーマンスと動作の変化を明らかにするとともに、これらの変化と下肢柔軟性との関係について検討した。分析の結果、フィン着用によって泳速度とキック頻度は有意に増加した。フィン着用時の加速局面と減速局面における股関節、上胴および大腿部の角度変位は有意に減少したが、下胴の角度についてはフィン着用時に有意に増加した。また、フィン着用時の下胴の角度変位からフィンなしの下胴の角度変位を引いた変化量は、長座体前屈との間に有意な相関関係がみられ、下肢の柔軟性が低いほどフィン着用時に下胴の角度変位が大きくなることが明らかになった。原著論文の投稿;Ikeda et al. Relationships between dolphin kick movements and velocity: Key factors producing wave-like motion. (要旨)男子競泳選手9名を対象に水中ドルフィンキック全力泳の動作を分析した。その結果、加速局面と減速局面の下胴の角度変位と角速度が大きいほど大転子の水平速度が大きく、さらに、下胴の角度変位が大きいほど、大腿部の角度変位が小さく、下腿部の角度変位が大きくなることが示され、ドルフィンキックにおけるうねり動作は大きな下胴の動きによって生み出されることが明らかになった。
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