研究課題/領域番号 |
17K13165
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
森 寿仁 立命館大学, 総合科学技術研究機構, 特別研究員 (90794298)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 常圧低酸素 / 内分泌応答 / 動脈血酸素飽和度 / 筋酸素飽和度 |
研究実績の概要 |
本研究は常圧低酸素環境では酸素濃度を容易に変化させることができるという特性を生かしたトレーニング方法について考案することを目的としている.初年度は,その特性を競技現場で生かすための基礎データとして,同一低酸素濃度環境下における身体の酸素化動態と代謝,内分泌応答の関係性について検討した. 被験者は健康な成人男性10名とし,低酸素環境(吸気酸素濃度14.5%,標高3000m相当)において60%VO2max強度の自転車ペダリング運動を60分間実施した.運動中20分毎(運動開始20,40,60分)に動脈血酸素飽和度,筋酸素飽和度,代謝系指標および血液指標を測定した.動脈血酸素飽和度は指尖に装着したパルスオキシメータから測定し,筋酸素飽和度は筋赤外線分光装置のプローブを右脚外側広筋に装着して測定した.代謝系指標は,酸素摂取量,二酸化炭素産生量,呼吸交換比を,血液指標は,血中乳酸,血中グルコース,血中pH,成長ホルモン,コルチゾール,エリスロポエチンを測定した. その結果,血中の酸素化動態を示す動脈血酸素飽和度には運動中7%程度の個人差が認められたのに対し,筋内の酸素化動態を示す筋酸素飽和度には運動中25%程度の個人差が認められた.さらに,内分泌応答との関連について検討したところ,筋酸素飽和度において動脈血酸素飽和度よりも高い関連性が認められた.したがって,個人ごとに酸素濃度を変化させることが低酸素トレーニングを実施する上で重要である可能性が考えられた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実験室の使用予定の関係上当初の予定とは実験内容が少々異なったが,本研究の目的を達成する上で重要な知見が得られたため.
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今後の研究の推進方策 |
初年度は身体の酸素化動態と代謝,内分泌応答の関係について検討を行い,個人ごとに酸素濃度を設定して低酸素トレーニングを行ったほうが身体に対する内分泌刺激を高められる可能性があることを明らかにした.H30年度では「容易に酸素濃度を変更できる」という常圧低酸素環境の特性を生かし,運動中に酸素濃度を変化させることが内分泌応答に及ぼす影響について明らかにする予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
研究機材の使用状況の関係もあり,当初予定していた内容を変更して実験を実施した.その結果,H29年度は実験規模を縮小して実験を実施することとなった.H30年度は実施予定の実験の規模が大きくなることが予想され,差額は実験の遂行費用(物品費,人件費)に充てる予定である.
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